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「高く飛ぶ」と誓った少年は、また逃げるのか

Opportunity Schoolで教えてみる【その6】

  • 林 壮一

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2009年11月5日(木)

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 テイラー・ハーパーとようやく再会できたのは10月28日だった。

教育コーディネイターとハーパー

 私がOpportunity Schoolに出向くと、彼女は教育コーディネイターの来客と打ち合わせ中だった。いつも溌剌としているハーパーの顔に疲労の色が滲んでいる。

「今、Opportunity Schoolとは別に14歳の女の子の面倒も見ていて、サポート案を話し合っているところなの。この子は、避妊なしのセックスに溺れている。どうやら、妊娠したみたい・・・。相手の男の子は15歳で不特定多数の女性と肉体関係を結んでいる。一言で語るなら、遊んでいるだけ」

 親になることの意味が分からない若者たちの間で、新しい生命が宿っていく。こうしたケースは枚挙に暇が無いが、カトリック教徒は基本的に堕胎を認めない。また他の信仰でも、授かった尊い生命を人間の手で消してしまうことなど許されない、と主張する声も多い。バラク・オバマに政権を譲り渡した共和党も、人工中絶に対して異を唱えている。

「まだ100パーセント妊娠したと決まった訳じゃないけれど、14歳で母親になってやっていける筈ないわ」

 私との会話の最中にも、ハーパーの携帯電話はひっきりなしに鳴った。

「こんな少女が子供を宿したら、生まれてくる子供だって辛い思いをする。どうしたらいいのかしら・・・。このところ、頭が痛いのよ」

 そこまで話すとテーラーは、右手に持っていたボールペンで自身の頭を何度か突いた。

新たな問題児を待つOpportunity Schoolの教室

「昨日は昨日で地域の校長先生たちとのミーティングがあって、予定より2時間もオーバーしてしまった。来週から、またここに新しい生徒が来ることになったから、あなたも時間がある折に手伝ってね」
「今度は、どんなタイプの子?」

 聞けば、崩壊家庭ではなく両親の下で暮らしているという。だが、深刻ないじめにあっており、集団行動が取れないとテーラーは説明した。

再び沈み始めた少年

「でも、新しい生徒が入って来るのは楽しみよね。生き生きした子に、してあげたいわ」

 ハーベスト・コーガンが自分の席から我々に声を掛けてきた。

 この日、私がOpportunity Schoolを訪ねたのは、例の少年の近況について報告を受け、今後について打ち合わせるためだった。

整理整頓された状態で児童を迎える。

「で、彼は今どうしてるの?」

 ハーパーは一瞬俯き、首を振った。

「ダメみたい」
「ダメ?」
「そうなの。教師の言葉を聞かずに授業中に漫画を描いてばかりだって。ワルと呼ばれるグループと付き合っては、自殺の話ばかりしているらしいわ」

コメント4件コメント/レビュー

いつも読ませてもらっています。私は高校の教員なので教育にかかわるコラムはとても興味があります。林さんのアメリカでのOpportunity Schoolレポートはいつも共感しつつ、今の日本にも同じようなことが起こりつつあると思っています。そしてどこまでが私にできることなのだろうかと常々考えています。本当に教育とは難しいです。日々の生徒への対応は試行錯誤の連続です。でも時々くれる生徒達からのありがとうが明日も頑張ろうと思わせてくれます。人が生きていくというのはやはりたくさんの人との関わりと感謝されることが大事なのだと思います。たくさんの人から生き方を学んで、そして自分の存在意義を持てることが生きていく力になると思います。林さんにはこれからも頑張って欲しいと思います。そしてまたレポートでOpportunity Schoolのことを教えてください。(2009/11/06)

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いつも読ませてもらっています。私は高校の教員なので教育にかかわるコラムはとても興味があります。林さんのアメリカでのOpportunity Schoolレポートはいつも共感しつつ、今の日本にも同じようなことが起こりつつあると思っています。そしてどこまでが私にできることなのだろうかと常々考えています。本当に教育とは難しいです。日々の生徒への対応は試行錯誤の連続です。でも時々くれる生徒達からのありがとうが明日も頑張ろうと思わせてくれます。人が生きていくというのはやはりたくさんの人との関わりと感謝されることが大事なのだと思います。たくさんの人から生き方を学んで、そして自分の存在意義を持てることが生きていく力になると思います。林さんにはこれからも頑張って欲しいと思います。そしてまたレポートでOpportunity Schoolのことを教えてください。(2009/11/06)

問題児は、家庭で作られて、学校で更に悲惨になるのは、居た堪れない気持ちになります。その子達を出来るだけ普通の状態に真剣にサポートするハーパー先生達に頭が下がります。その現場からのレポート素晴らしいです!次回の記事を楽しみしています。 (2009/11/05)

教育に正解はない、その通りだと思います。その子供に合わせた教育、それが必要なのでしょう。そのために真剣に解を探し、向き合っている教師と言うのは素晴らしい存在だと思います。(2009/11/05)

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