「三国志」に登場する名軍師として知られる諸葛亮(孔明)。蜀の劉備が「三顧の礼」で諸葛亮を家臣として迎えたエピソードは有名だ。この舞台となったのが、中国湖北省の襄樊(ジョハン)市(三国志時代の地名は「襄陽」)である。
同市の郊外に日産自動車の中国合弁、東風汽車有限公司の小型トラック工場はある。
ガッシャン、ガッシャン、ガッシャン…。航空機の格納庫のような建屋の中では、巨大なプレス機がひっきりなしに鋼板を打ち抜いて、金属部品に加工していく。こうした部品が生産ラインで次々に組み立てられ、大きなトラックが完成していく様子は圧巻だ。
同工場で、今まさに生産立ち上げの最終段階に入っているのが、小型トラックの「F91A」。日本で「アトラス」と呼ばれている1トンクラスの小型トラックで、海外では「キャブスター」ブランドで販売している。11月12日に中国市場で新たに投入する。
F91Aは当初、年間1万2000台の生産体制を目指す。日産はF91Aの生産規模を早期に2万台に引き上げ、その後は輸出を含めて5万台に増やそうという野心的な計画も持っている。
生産規模を拡大し、中国で部品調達の現地化を進めることで、これまでにないコスト削減の実現を目指す。
「中国では手頃な価格の商用車が求められている。成長著しい内陸部や農村部では、小型トラックなどの販売をまだまだ伸ばせる」。東風汽車の中村公泰総裁は意欲的だ。
商用車の伸び率は乗用車を凌駕
なぜ商用車に力を入れるのか。中国は、米国を抜き世界最大の自動車市場に躍進しつつある。とりわけ乗用車に注目が集まっており、日本勢ではトヨタ自動車やホンダが先行している。乗用車の合弁設立は2003年と遅かった日産だったが、最近は2社を猛烈に追い上げている。
中国政府の減税対象となる排気量1600cc以下で豊富な車種を揃えていることや、内陸部に強い販売ネットワークが奏功した。日産は乗用車で、トヨタやホンダに迫るまでにシェアを伸ばしている。
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