「アジアで稼ぐ!」

日本の電機が韓国勢に完敗した理由

サムスン電子元役員が語る“立ち食いそば式”開発の強さ

バックナンバー

2009年11月10日(火)

1/4ページ

印刷ページ

 世界市場で、半導体、液晶テレビ、携帯電話などのシェアが低迷し、業績の悪化に苦しむ日本の電機メーカー。ソニー、パナソニック、日立製作所、東芝などにかつての輝きは見えない。対照的に好調が際立つのは韓国のサムスン電子やLG電子だ。今年7〜9月期の営業利益は、サムスン電子1社で、日本の電機大手9社の合計の2倍以上に達している。

 なぜ日本の電機メーカーは没落し、韓国勢は世界で躍進しているのか。韓国サムスン電子の元常務で、9月下旬に『危機の経営〜サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』(講談社、畑村洋太郎氏との共著)を上梓した吉川良三氏が語った。

(聞き手は山崎良兵=日経ビジネス記者)

吉川良三(よしかわ・りょうぞう)氏
1940年生まれ。64年日立製作所に入社後、ソフトウエア開発を担当し、CAD/CAMに関する論文を多数発表した。日本鋼管(現JFEホールディングス)を経て、94年に韓国サムスン電子に入社。常務としてデジタル技術を活用した設計・開発の業務革新を担当した。帰国後、2004年より東京大学大学院経済学研究科ものづくり経営研究センター特任研究員として、日本と海外の製造業を比較研究している。

 ── 世界的な景気低迷を受けて、日本の電機メーカーは軒並み業績が低迷しています。対照的に韓国勢は絶好調です。日本と韓国の両方の電機メーカーに詳しい吉川さんは、現状をどう分析していますか。

 吉川 「危機感はあるが、危機意識がない」。日本の様々な電機大手の役員クラスの方々と話す機会が多いのですが、いつもそう感じています。

 世界的な不況で日本の電機メーカーはみんな苦しい。状況が厳しいことは分かっているが、意識とやり方を変えずに、じっと景気が良くなるのを待っている。それでは、復活できるわけがありません。

 韓国勢はわずか1年足らずで業績が復活して、今は世界で攻勢に出ている。日本メーカーとの違いはどこにあるのか。

このままでは日本の電機は5年も持たない

 吉川 一番の違いは「モノ作り」に対する姿勢だと思っています。韓国勢はモノ作りが製造業ではなく、お客様に対して特定の付加価値を生み出す作業だと考えている。付加価値を商品という形にして、どうやってお客様に届けていくのかという一連のプロセスで差があります。

 日本メーカーはこれまでのモノ作りのあり方を根本から見直す必要がある。「危機感があるが、危機意識がない」と言ったのは、意識ややり方まで大きく変える改革に踏み込んでいる企業がほとんどないからです。このままでは5年も経たないうちに、日本の電機は本当にダメになってしまう。存亡の危機は目の前に迫っています。

 モノ作りを変えることに対して、日本には抵抗勢力が多い。「日本の製造業は世界のトップレベルにある」。そんな思い込みを捨てられずに、本気で学ぼうとしていない。今までの人材育成、組織、IT(情報技術)の使い方を、変革しようとしていません。

 ── 日本の電機がモノ作りを抜本的に変革するには、具体的に何をどうすればいいのでしょうか。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント37 件(コメントを読む)
トラックバック


このコラムについて

アジアで稼ぐ!

 日本企業が生き残るためには、21世紀の成長センターであるアジアでの成功は不可避。ただ一概に成長市場といっても、そのスピードや発展過程には国・地域ごとに様々な特性がある。市場の真の姿を把握しない限り、適切な対応はできない。アジア市場を「内需」ととらえ、これを制する“術”を分析する。
アジア会議についての詳細はこちら

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン