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オバマが狙う「核の主導権」

正念場を迎える対話外交、米・イラン核交渉の行方

2009年11月16日(月)

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 アメリカとイランは歴史的な和解へ向けて対話を進めることができるのか? それとも直接交渉は決裂し、アメリカはさらなる経済制裁発動へとシフトしてしまうのか? 米・イラン関係は今、大きな分かれ目に差しかかっている。

 現在進行中のイラン核問題をめぐる交渉の行方は、中東地域にとどまらず、わが国を含む世界の安全保障の秩序を大きく左右する一大事である。にもかかわらず日本のメディアはこの問題を断片的にしか伝えていない。

 オバマ政権が、政権の命運をかけて取り組むイラン核開発問題。この問題をめぐる複雑な国際関係とオバマ政権の思惑を、以下詳細に分析していこう。

基本合意から一転、IAEA提案を「拒否」したイラン

 10月29日、欧米の主要メディアは、イランと国連安全保障理事会常任理事国5カ国+ドイツが基本合意に達していた計画――、すなわちイランがこれまでに蓄積した低濃縮ウランの大部分をロシアとフランスで濃縮、加工するというIAEA(国際原子力機関)草案を、イラン政府が正式に拒否した、と報じた。11月2日にはイランのモッタキ外相が「この取引を拒否したわけではない。技術委員会を立ち上げて条件の確認を提案しただけ」と説明したものの、イラン側の意図に対する不信感は増大しており、交渉による解決に対する悲観的な見通しが強くなっている。

 イラン政府が今回正式に拒否したとされるIAEA案。その中味は実にユニークなものであった。

 10月1日、イランと国連安全保障理事会常任理事国5カ国+ドイツはスイスのジュネーブで協議を行い、イランが国内に蓄積している低濃縮(3.5%)ウラン1.2トンをロシアに運び、濃縮率を19.75%に高め、フランスがこれを燃料化してイランに戻し、テヘランの研究炉で使用するというIAEAの提案に基本合意した。

 イランとアメリカ、ロシア、フランスは、10月中旬にIAEAの仲介の下、ウィーンでさらに具体的な詰めの協議を行い、イラン政府は同月23日にこの提案に対する正式な回答をIAEAに提示することになっていた。

 しかし、この提案に基本合意をしたものの、イランは国内で議論をまとめることができず、イラン政府は回答期限の延期を要請した後、29日に正式にIAEA案の修正を逆提案し、事実上この提案の「核心部分を拒否した」と見なされている。

突飛な提案はどうして生まれたか

 この突飛とも思える案が生まれたそもそものきっかけは今年6月のこと。イランは1967年以来、テヘランにある研究炉でがん治療などに使われる医療用アイソトープを製造している。この研究炉はもともとアメリカの技術で製造されたものであり、それ以来数十年間にわたりIAEAの監視の下で操業している。

 この研究炉で使用される19.75%の低濃縮ウランは90年代前半にアルゼンチン政府によって提供されたが、来年にも在庫が尽きてしまうため、イラン政府はIAEAに対して新たな燃料の供給を求めていた。このイラン側からの要請を受けてIAEAは米政府に相談を持ちかけたのだが、この状況に敏感に反応したのがオバマ政権だった。

 アメリカは第三国から新たな濃縮ウランをイランに供給する代わりに、イラン自身が国連安保理の度重なる決議に違反して、ナタンズにあるウラン濃縮施設で過去数年間にわたり蓄積してきた低濃縮ウランを使ってはどうか、と考えたのである。ナタンズにある濃縮施設の存在が明らかになったのは7年前のことだが、イランはこれまでに1.5トンもの低濃縮ウランを蓄積したと考えられている。

コメント1件コメント/レビュー

大変勉強になりました。スペインに留学中の為、日本のつまらないニュースを見る機会は無くなり、逆にこうした記事から情報を得ています。嘘偽りの無い情報が世界には必要です。今、友人に中東出身の方がいます。日本人は中東やアフリカ諸国との距離を早急に縮める必要があると痛切に感じます。基本的な情報、認識の不足を解消するために、どういった策が適当だろう、とそんな事を考えます。(2009/11/16)

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「オバマが狙う「核の主導権」」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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大変勉強になりました。スペインに留学中の為、日本のつまらないニュースを見る機会は無くなり、逆にこうした記事から情報を得ています。嘘偽りの無い情報が世界には必要です。今、友人に中東出身の方がいます。日本人は中東やアフリカ諸国との距離を早急に縮める必要があると痛切に感じます。基本的な情報、認識の不足を解消するために、どういった策が適当だろう、とそんな事を考えます。(2009/11/16)

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三品 和広 神戸大学教授