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いじめに耐えかねた小学生は、銃を忍ばせて登校した

Opportunity Schoolで教えてみる【その8】

  • 林 壮一

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2009年11月19日(木)

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 少年はその日、バックパックに銃を忍ばせて登校した。

 彼の通う小学校は、中学校と隣接されており、少年はずっと中学生からターゲットにされていたそうだ。日常的に暴力を振るわれ、時には金をせびられることもあった。

 担任はいじめに気付かなかった。親に相談することも出来なかった少年は、自分の手で“決着”を付けようと、父親の書斎から銃を取り出す。そして翌日、自分に嫌がらせを続けてきた中学生に銃口を向けるつもりで登校した。

 とはいえ、銃に弾は込められていなかった。教師たちに銃を取り上げられ、Opportunity School行きが決まる。11月2日より登校し、私と顔を合わせた日は8日目を迎えていた。

 11歳の彼は手足が長く、痩せていた。Opportunity Schoolにやって来る児童にしては珍しく、彼の家庭は崩壊していない。表情に少し翳りのようなものが見られたが、大人しそうな少年だ。

「6年生か。学校は好き?」

 私が問いかけると、「うん」と頷きながら答えた。
 この日、テイラー・ハーパーは身内に不幸があって休みだった。ハーベスト・コーガンが代わりに全てを任されていた。

寡黙に、真剣に喰らいついてくる少年

「じゃあ1時間、あなたのやり方で彼と接してあげて」
「了解」

 まず私は少年に質問した。

「先月ここに来ていた子は、日本語を学ぶことを希望したのでそうした。君はどうする? サッカーをやりたければ一緒にやろう。バスケットでもいいよ。ボクシングのミットもあるぞ」
「今日は日本語がいいな。次回はボクシングを教えて下さい」
「よし、やろう」

 少年は母親と母の再婚相手、そして乳飲み子である2人の妹と一緒に暮らしていた。趣味はテレビゲームで、学校から戻ると多くの時間をテレビの前で費やしているそうだ。将来は、米海軍に入隊したいと話した。

 理由を聞いてみると、

「母方のお祖父ちゃんも、父方のお祖父ちゃんも、そして曾お祖父ちゃんも海軍兵だったから」

 と答えた。

「つい先週、お祖父ちゃんがイラクで亡くなったんだ。曾お祖父ちゃんもベトナムに行っている。

だから、僕も海軍兵になるのが使命だと思って」

 彼は自分自身についてきちんと説明出来るだけの言葉を持っていた。私は前回接した少年の時と同じように、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「ありがとう」「さようなら」といった日本語を発音させてみた。

 寡黙な印象の少年だが、真剣に喰らいついてくる。「もっと大きな声で言ってみようか」と促すと、素直に従った。

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