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アジアの金融システムの長所と短所

銀行偏重から新しい金融資本市場の創設へ

  • 黒田 東彦

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2009年11月20日(金)

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 2008年夏に始まり、2009年秋のリーマンショックで深刻化した世界的な金融危機は、1997~98年のアジア金融危機のときと反対に、アジアの金融システムの長所を明らかにしました。米国や欧州の金融機関が軒並み厳しい危機に見舞われるなかで、アジアの金融機関はほとんど影響を受けなかったからです。

 しかし、今回の世界金融危機は、アジアの金融システムの長所と短所を再考させ、長所を伸ばして短所を是正するきっかけになるのではないかと期待されます。今回は、いま徐々に収束に向かいつつある世界金融危機の原因やアジアへの影響を振り返り、アジアの金融システムの長所と短所を考えてみたいと思います。

世界金融危機の原因は何か

 今回の金融危機の原因については、さまざまな議論がなされていますが、2000年代における世界的不均衡の拡大、米国の大幅な金融緩和、金融機関のリスク管理の失敗、金融規制の不適応などが絡まって生じたというのがコンセンサスに近いといえましょう。

(1)2000年代に入って米国や欧州の一部が大幅な経常赤字を出す一方、中国など東アジア新興国と産油国が大幅な経常黒字を記録し続けました。これら黒字国が増加する外貨準備を米国債などで運用したことから、米国を中心に長期金利が異常に低下しました(グリーンスパン前FRB議長が指摘した「債券市場のなぞ(Bond Market Conundrum)」という現象)。これが金融機関を含む投資家たちに高い利回りを求めて一層リスキーな投資をさせたと思われます。

(2)1999年のITバブル崩壊後にFRBが金融を大幅に緩和し、景気が立ち直った後も緩和を続けたことが、人々に低金利の持続を予想させ、住宅その他の資産への投資をあおり、巨大なバブルにつながりました。その意味で、(1)と(2)は相互に補強しあったのではないかと考えられます。

(3)こうした状況の下でも、健全な金融機関は投機的な行動を自制したでしょうが、欧米の多くの金融機関はこうした状況をむしろ千載一遇のチャンスと考え、レバレッジ(自己資本に対する借り入れの比率)を大幅に引き上げて投機に走ったのです。サブプライムローンと呼ばれる、信用度の低い借り手に当面低利で住宅価格の100%まで貸し出す仕組みも、住宅価格の上昇を当てにした投機以外の何者でもありません。しかも、こうしたローンを組み入れた資産担保証券を作って高い格付けを得たうえで、世界中の投資家に売りさばいたのです。

 このような欧米の(銀行や証券会社のみならず、保険会社やヘッジファンドなどを含む)金融機関の投機的行動の背景に、短期的な収益成果によって高いボーナスが得られる報酬制度があり、長期的なリスクを無視した行動を生み出したと考えられます。

(4)こうした投機的行動を放置した欧米における金融規制・監督の失敗も大きかったといえます。サブプライムローンの適切な規制は十分可能でしたし、金融機関がさまざまな手法でレバレッジを異常な高水準に引き上げるのを抑制することもできたはずです。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)など各種のデリバティブ取引を規制する意見もあったのですが、欧米政府は無視してしまいました。資産担保証券に高い格付けを乱発した格付け会社に対する規制も行われなかったのです。

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