「吉田鈴香の「世界の中のニッポン」」

JICAの埋蔵金でアフガン支援すれば?

「事業仕分け」でなく「勘定区分の見直し」で見えるもの

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2009年11月24日(火)

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 行政刷新会議の事業仕分けは、11月17日に前半を終えた。この時点で、「廃止」と認定された事業は1600億円、基金は最大で1兆円の返納が要請された(朝日新聞による)。めどにしていた3兆円は、まだ遠い数字だ。

 「事業仕分け」をしている行刷だが、着眼点は「個別事業」や「経費」でよいのだろうか?より根本的な「勘定区分」なのではないか?

JICAの勘定区分に着目すべき

 今回事業仕分けの対象事業は、財務省が問いただしたものに各省庁の担当者がうまく答えられなかったものを「行刷送りだ!」と、事前に「仕分け」して、出てきたものらしい。

 「行刷送り」とは、いうなれば、時代劇にある「お白州での吟味」の現代版みたいなものだろうか。「仕分け」する方は高いところで座布団に座り、される側は庭の筵の上に座る。両者には圧倒的な地位の差がある。

 行刷送りかどうかを決める第1段階の陰の仕分け人は、財務省主計局である。

 確かに、東京の国立印刷局市谷センターで行っている事業仕分けのメンバーは、なんのことはない、財務省の財政制度等審議会の民間人メンバーである。こういう情報がマスコミに出てこないのは、情けない。

 筆者は、第2ワーキンググループの対象となる外務省を興味深く見ている。3事業も「行刷送り」された独立行政法人、国際協力機構(JICA)の問題点として、出張時の飛行機のチケットが高いなど、細かい項目が槍玉に挙げられているが、家計簿と同じような判断でいいものだろうか。それでは3兆円は積み上げられないだろう。

そもそも独立行政法人は収支がトントンになればよい

 さて、本日24日から、後半の事業仕分けが始まる。筆者はこの日を待っていた。JICA(国際協力機構)の事業仕分けに非常に関心があり、本日行われる予定の外務省の仕分けには、ぜひ顔を出そうと思っているからだ。国際協力は筆者のいわばホームベースみたいな領域であるし、前回の記事で書いたアフガニスタンの支援のための4500億円が、このご時勢にどう捻出されるのか、気になっているからである。

【1】 人件費・旅費:ファーストクラスの利用などの過度な国際旅費が目立つ。
   
【2】 大阪や兵庫の国内研修施設、JICA地球ひろばなどの施設、宿泊施設:稼働率が低く、運営費がムダになっている。
   
【3】 外務省職員の天下り企業への発注:日本国際協力センター(JICE)、日本国際協力システム(JICS)、国際サービス・エージェンシー(東京・新宿区)

 上記は以前から一部の世論として存在はしているが、これを削ったところでたかが知れている。【1】について、ファーストクラスに乗っているのは、緒方貞子理事長ぐらいと聞いているし(82歳の緒方理事長にエコノミーディスカウントで出張せよと誰が言うのか?)、国際協力を仕事とする以上、途上国に出張しないで仕事をすることなぞ不可能だからである。

 【2】と【3】は確かに無駄が多い。国内研修施設、JICA地球ひろば、JICA横浜の海外移住資料館などは、豪華すぎるし、ムダが多く、もっと民間に任せるべきだろう。飛行機のファーストクラスやビジネスクラスの使用はもちろんこの状況では我慢すべきであるし、天下り関連企業への独占発注は当然やめるべきである。しかし、これらをチマチマと削ったところで、1500億円弱の運営費交付金のうち、10億円も削減できないだろう。

 JICAの場合、もっと大切な制度上の矛盾にメスが入っていない。有償資金協力と技術協力とに分かれた勘定区分を廃止したほうが、どれだけ、多くの財源が得られることかと思う。以下、筆者の計算を述べる。

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著者プロフィール

吉田 鈴香(よしだ・すずか)
ジャーナリスト

吉田 鈴香1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。
主な著書に『アマチュアはイラクに入るな』(亜紀書房)、『紛争から平和構築へ』(論創社、共著)など。ウェブサイト「吉田鈴香が見る世界」も公開中。Twitterのアドレスはこちら



■編集部よりお知らせ
本コラムの著者である吉田鈴香さんが参議院選挙に立候補することになりました。 そのため新着記事の更新を停止いたします。[2010年6月14日]

■筆者より
2年弱、読者の皆様の叱咤激励に支えられながら続けてまいりましたことに厚く お礼を申し上げます。ご愛読ありがとうございました。(吉田鈴香)



このコラムについて

吉田鈴香の「世界の中のニッポン」

東ティモールから旧ユーゴスラビア、シエラレオネ、イラクまで、世界の紛争地帯をジャーナリストとして訪ねてきた著者が、国際支援の現状、ODA(政府開発援助)に望むこと、武装解除と平和交渉などを鋭くリポートする。

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