イスラエルの防衛・航空大手、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)は世界の防衛産業における「小さな巨人」だ。イスラエルの国土防衛で最も重要な役割を果たしてきた会社であり、無人偵察機やレーダーなどの分野における高い技術力を持つ。
最近は米国市場への本格的な進出など世界的な事業展開に動いており、三菱重工業などとの提携による日本市場への参入も検討を始めた。あまり日本では知られていないが、世界を代表する防衛大手であるIAIの強さとは何か。
IAIは1953年に創設された。イスラエルの軍隊が使った飛行機などの修理を請け負う会社だった。だが、現在までに無人偵察機、レーダーなど電子装備品、ミサイル防衛システムなどを独自に開発し、事業領域を広げてきた。
民間機部門でも、老朽化した旅客機を貨物機に転換する「コンバージョン(改良)」事業では最近、三井物産とも提携するなど積極的だ。さらに、米防衛大手ジェネラル・ダイナミクスの子会社である米ガルフストリーム・エアロスペースと提携し、ビジネスジェット機の開発、生産をしている。
2008年決算の売上高は邦貨換算で3300億円程度。受注残は6400億円程度ある。
「ラビ」プロジェクトの挫折 米国の横やりで窮地に
この会社を最も有名にしたのは戦闘機「ラビ」プロジェクトだ。1986年に初飛行に成功し、「悲願の国産化」にあと一歩と迫った。だが、その途端、米国が開発資金の援助を打ち切ることを決定した。ラビの戦闘能力の高さに、米国の防衛大手が警戒し、横やりを入れたというのが定説だ。
これを多額の研究費をかけて開発してきたのがIAIだった。完全に梯子を外された同社は収益的にも大打撃となり、将来の経営の柱を失ったのだ。これが同社の戦略を大きく変えた。より強みを発揮できるニッチ分野に集中していくことになった。
もともと、IAIは政治に翻弄されてきた。
イスラエルは1960年代、フランスの戦闘機「ミラージュ」を輸入していた。だが、当時、フランスのドゴール大統領が1967年にはアラブの産油国への輸出拡大を狙って、イスラエルへの戦闘機の輸出禁止措置を突然、打ち出した。
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