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「嫌なこと、頭にきたこと、全てをノックアウトする気持ちで打ってみろ!」

Opportunity Schoolで教えてみる【その9】

  • 林 壮一

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2009年11月26日(木)

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「僕は、機械が好きです」
「お、言えるようになったな!」

 言葉遊びと呼べるだろうか。「か、き、く、け、こ」を学習させた後、習った箇所までの語で単語を作ってみようと、私は彼のノートに「かこ(過去)」「かう(買う)」「かう(飼う)」「きい(奇異)」などと書いてみた。「き、か、い」と教えると、少年は即、反応した。

 彼は「僕は●●が好きです」と色々な語に当てはめて、言えるようになった。頭が良さそうだし、素直で学習意欲も高い。ただ、前回の子と比較すると笑顔が少なかった。

「先生、今日はボクシングも教えてくれるんだよね」
「約束していたよな。ところで、この学校、好きかい?」
「うん、とっても」
「楽しい?」
「はい」
「ストレスは無い?」
「まったくね」

 少年は興味のある事柄を自分から話して来た。

「僕ね、いつかアラスカ州とオクラホマ州に住んでみたいんだ」

少年は父と話したいのではないか

 彼は大人の男性と会話する時間を欲しているように見えた。だから私は授業を中断して、彼の話に付き合うことにした。

「それはどうして?」
「オクラホマは、パパと一緒に旅行したことがある場所で、とっても良いところだったから」
「観光で行ったんだ」
「4歳くらいの頃にね。楽しかったな」
「アラスカにも行ったことがあるの?」
「まだない。でも、パパが働いていたことがあってね」
「アラスカといえば漁業かな?」
「そう」

 少年の語る「パパ」とは、一緒に暮らしている継父ではなく、血の繋がった父親を指す。「この子は、Opportunity schoolに送られてくる生徒としては珍しく、家庭が崩壊していない」と聞かされていたが、彼の心の中で実父への想いが大きなウエイトを占めているのは、短い会話でも容易に理解できた。

 離れて暮らし、時折しか会えない彼の実父は、少年が弾の入っていない銃を学校に持っていったことを知らされているのだろうか。

 「きかい」とノートに清書する少年を見詰めながら、私はそんなことを考えていた。

「よし、ちょっとボクシングをやってみようぜ!」

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