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移民受け入れは「企業と市場」に任せよ

福祉大国スウェーデンの真実(3)移民・難民担当相に聞く

2009年12月2日(水)

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 これまでの移民政策は難民中心だった――。そんな反省からスウェーデンは昨年12月、労働目的の移民受け入れの条件を大幅に緩和した。グローバルでの人材獲得競争が激しさを増す中、この国が持つ「非英語圏、高税率、悪い天候」という3つのハンデをいかに克服し、不足する労働力を補うか。移民受け入れを企業主導の市場原理に基づくやり方に転換した狙いを、移民・難民政策担当のトビアス・ビルストローム大臣に聞いた。


(聞き手は大竹 剛=日経ビジネス・ロンドン特派員)

 ―― 昨年12月に新たな移民政策を導入しました。その背景を教えてください。

スウェーデンの移民・難民政策担当のトビアス・ビルストローム大臣
画像のクリックで拡大表示

 ビルストローム 昨年からスタートした新たな移民政策は、この国の経済成長と福祉社会を維持するために、より多くの労働目的の移民をスウェーデンに引き付けることを目的にしています。

 これまで、スウェーデンの移民政策で問題となってきたのは、過去40年以上もの間、移民の大部分が難民だったことです。何らかの専門技術を持っているなど、労働目的の移民は非常に少なかった。

 もちろん、保護が必要な難民たちの受け入れは今後も続けていきますし、難民を社会にスムーズに融合させるための語学教育や職業訓練には、引き続き力を注いでいきます。しかし、スウェーデンがグローバル経済の中で競争していくには、それだけでは不十分なのです。

雇用者は10人でも100人でも好きなだけ採用できる

 労働目的の移民を増やせば、高齢化や人口減少から生じるすべての問題を解決できるわけではありません。2050年までに、数百万人の人口を輸入することはできませんし、誰もが国境を越えて移動したいわけではありません。

 そもそも、海外に出たい人の多くが、英語圏で税金が安く、気候にも恵まれている国に行きたがる。スウェーデンは、この3条件のどれにも当てはまらない。

 しかし、この国の産業を担ってきた人たちが定年退職する時、その代わりをだれが担うのか。すべてを移民で補うことはできなくても、問題解決のためには移民政策の緩和は不可避だと判断しました。これは我々にとって非常に大きなチェンレジです。

 ―― 必要な人材を国内や欧州連合(EU)域内から採用できるかを判断する、政府による「労働市場テスト」の廃止が柱ですね。

 ビルストローム そのほかにも、滞在期間の延長や、永住許可証や市民権の取得条件も緩和しました。

 唯一、我々が引き続き目を光らすのは、スウェーデン国内から人材を採用した場合と比べて、同等の給料や社会保障の条件を提示しているかどうかだけです。このシステムは移民受け入れを完全に企業の需要に任せており、雇用者は1人でも10人でも100人でも、好きなだけ採用できます。

 新システムが上手く機能していることは、不況の時にも労働移民の受け入れ数が伸びていることが示しています。今年は2万人に達する勢いです。

 内訳をみると、ベリーを収穫するためにタイから訪れた季節労働者、中国やインドからやってきたIT(情報技術)エンジニア、ウクライナからやってきた建設労働者などが含まれています。

政府が効果的な移民の基準を定めることは不可能

 ―― 国によっては、学歴や年収などの条件を定め、優秀な人材だけを選んで受け入れようという動きもあります。

 ビルストローム そうですね。カナダや英国では、年齢や学歴などをポイントとして換算するシステムを通じて、高度技能人材の受け入れにターゲットを絞っています。

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「移民受け入れは「企業と市場」に任せよ」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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