「移民YES」

ドイツの苦悩―移民の失敗、繰り返さない

内務省政務次官、オーレ・シュレーダー氏に聞く

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2009年12月3日(木)

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 スウェーデンと並び、欧州の中でも移民が多いことで知られるドイツ。1960年代、労働力不足を補うために、トルコなどから移民を受け入れた。しかし、40年後の今、当時の移民政策の失敗が残した後遺症に苦悩している。当初、期間限定で受け入れたはずの外国人労働者の多くがドイツに定住し、社会に溶け込めないまま、失業率の上昇など社会問題を引き起こしているのだ。

 一方、情報技術(IT)技術者など高度な技能を持つ人材は不足しており、高度技能人材の受け入れは拡大しなければならない。ドイツ内務省政務次官のオーレ・シュレーダー氏に聞いた。


(聞き手は大竹剛=日経ビジネス・ロンドン支局特派員)

 ―― まず、ドイツの移民政策の基本戦略を教えてください。

ドイツ内務省政務次官のオーレ・シュレーダー氏
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 シュレーダー そもそもドイツは、東西ドイツが一緒になった統合国家です。そのため、移民政策は、(移民を社会に溶け込ませる)統合政策と切り離して考えることはできません。

 こうした背景から、ドイツの移民政策は、社会が移民を受け入れられる限界を念頭に置きつつ、いかに移民を受け入れていくかに主眼を置いています。もちろん、不法移民の封じ込めも移民政策の狙いの1つです。

 ドイツでは、労働目的の移民の受け入れを、移民が持つ資格や技能に基づいて実施しています。一方、人道的な観点から、政治的な理由などから保護を求める難民の受け入れも実施しています。

 移民政策を注意深く実施すれば、人口減少による労働力不足、特に、高い技能を持つ労働者の不足に起因する悪影響を緩和できると考えています。

 経済と社会にプラス効果をもたらす移民を、いかに引き付けるか。そうした観点から、高度な技能を持つ人材にはドイツに移住することのインセンティブを作ることが狙いです。

資格や技能に基づき受け入れの可否を判断

 ―― 高度技能人材を引き付けるには、何が必要でしょうか。

 シュレーダー それには前提として、この国に魅力的な生活環境がなければなりません。

 例えば、技術者やほかの専門家がドイツで働きたいと思うような、優れたキャリアや高収入を得られる機会が必要でしょう。また、充実した医療・社会保障制度や良い学校、安心して暮らせる環境も重要です。

 そして、もう1つの要素が移民政策です。先ほど申し上げたように、ドイツでは移民が持つ資格や技能に基づいて受け入れの可否を判断する制度を導入しています。

 具体的には、移民が持つスキル、例えば、情報技術(IT)の専門家や教師、ドイツの大学を卒業した外国人、プロのスポーツ選手、そして特別な分野のシェフなどが、一時的な滞在許可証を取得できます。

 この滞在許可証は延長可能で、滞在期間が5年を過ぎると、永住許可証を取得できます。

高度技能労働者には、永住許可証も

 シュレーダー さらに、より高度な技能を持つ労働者、例えば、特別な技術的知識を持つ科学者や、地位の高い教授、他にも特別な専門職に従事した経験がある専門家や企業幹部などは、条件を満たせばドイツに入国した直後から永住許可証を取得できます。

 条件としては、具体的な就職先を確保としていることや、年収が6万4800ユーロ(約900万円、2009年1月から8万4600ユーロから引き下げられた)以上あることが必要です。

 ―― 政府が必要な人材の条件を定め、経済と社会にプラス効果のある移民だけを受け入れることが本当に可能でしょうか。

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著者プロフィール

大竹 剛(おおたけ つよし)

1998年、デジタルカメラやDVDなどの黎明期に月刊誌「日経マルチメディア」の記者となる。同誌はインターネット・ブームを追い風に「日経ネットビジネス」へと雑誌名を変更し、ネット関連企業の取材に重点をシフトするも、ITバブル崩壊であえなく“休刊”。その後は「日経ビジネス」の記者として、主に家電業界を担当しながら企業経営を中心に取材。2008年9月から、ロンドン支局特派員として欧州・アフリカ・中東・ロシアを活動範囲に業種・業界を問わず取材中。日経ビジネスオンラインでコラム「ロンドン万華鏡」を執筆している。



このコラムについて

移民YES

深刻な景気悪化を背景に、雇用対策が最大のテーマになっている。だが、10年もしないうちに、日本は深刻な労働力不足に直面する。既に、国内産業の多くが外国人の労働抜きには成り立たなくなり始めている。付け焼き刃の対応で「移民」政策に真正面から向き合ってこなかった日本。今こそ、「移民YES」に方針転換し、制度整備を急ぐ時だ。

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