• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ドイツの苦悩―移民の失敗、繰り返さない

内務省政務次官、オーレ・シュレーダー氏に聞く

2009年12月3日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 スウェーデンと並び、欧州の中でも移民が多いことで知られるドイツ。1960年代、労働力不足を補うために、トルコなどから移民を受け入れた。しかし、40年後の今、当時の移民政策の失敗が残した後遺症に苦悩している。当初、期間限定で受け入れたはずの外国人労働者の多くがドイツに定住し、社会に溶け込めないまま、失業率の上昇など社会問題を引き起こしているのだ。

 一方、情報技術(IT)技術者など高度な技能を持つ人材は不足しており、高度技能人材の受け入れは拡大しなければならない。ドイツ内務省政務次官のオーレ・シュレーダー氏に聞いた。


(聞き手は大竹剛=日経ビジネス・ロンドン支局特派員)

 ―― まず、ドイツの移民政策の基本戦略を教えてください。

ドイツ内務省政務次官のオーレ・シュレーダー氏
画像のクリックで拡大表示

 シュレーダー そもそもドイツは、東西ドイツが一緒になった統合国家です。そのため、移民政策は、(移民を社会に溶け込ませる)統合政策と切り離して考えることはできません。

 こうした背景から、ドイツの移民政策は、社会が移民を受け入れられる限界を念頭に置きつつ、いかに移民を受け入れていくかに主眼を置いています。もちろん、不法移民の封じ込めも移民政策の狙いの1つです。

 ドイツでは、労働目的の移民の受け入れを、移民が持つ資格や技能に基づいて実施しています。一方、人道的な観点から、政治的な理由などから保護を求める難民の受け入れも実施しています。

 移民政策を注意深く実施すれば、人口減少による労働力不足、特に、高い技能を持つ労働者の不足に起因する悪影響を緩和できると考えています。

 経済と社会にプラス効果をもたらす移民を、いかに引き付けるか。そうした観点から、高度な技能を持つ人材にはドイツに移住することのインセンティブを作ることが狙いです。

資格や技能に基づき受け入れの可否を判断

 ―― 高度技能人材を引き付けるには、何が必要でしょうか。

 シュレーダー それには前提として、この国に魅力的な生活環境がなければなりません。

 例えば、技術者やほかの専門家がドイツで働きたいと思うような、優れたキャリアや高収入を得られる機会が必要でしょう。また、充実した医療・社会保障制度や良い学校、安心して暮らせる環境も重要です。

 そして、もう1つの要素が移民政策です。先ほど申し上げたように、ドイツでは移民が持つ資格や技能に基づいて受け入れの可否を判断する制度を導入しています。

 具体的には、移民が持つスキル、例えば、情報技術(IT)の専門家や教師、ドイツの大学を卒業した外国人、プロのスポーツ選手、そして特別な分野のシェフなどが、一時的な滞在許可証を取得できます。

 この滞在許可証は延長可能で、滞在期間が5年を過ぎると、永住許可証を取得できます。

高度技能労働者には、永住許可証も

 シュレーダー さらに、より高度な技能を持つ労働者、例えば、特別な技術的知識を持つ科学者や、地位の高い教授、他にも特別な専門職に従事した経験がある専門家や企業幹部などは、条件を満たせばドイツに入国した直後から永住許可証を取得できます。

 条件としては、具体的な就職先を確保としていることや、年収が6万4800ユーロ(約900万円、2009年1月から8万4600ユーロから引き下げられた)以上あることが必要です。

 ―― 政府が必要な人材の条件を定め、経済と社会にプラス効果のある移民だけを受け入れることが本当に可能でしょうか。

コメント12件コメント/レビュー

ドイツの官僚がシステムとしての移民製作を語るのと、ドイツ国民が感情として移民をどう見ているのかには、乖離があることを認識するべきです。ドイツやオーストリアではガスとアルバイターとして移民を受け入れてから、さらに最近のEU拡大に伴って、イスラム圏や旧共産圏からの移民と難民が加速度的に流入してきています。移民・難民親和政策を取ってきたドイツのSPD(社会党)が国民の支持を失い、却ってFPD(自由党、一部極右)が台頭してきていることは切り離しては考えられません。義務教育期間ではクラスの半分以上がドイツ語を理解できずに教育の質の劣化が問題になっています。就業している移民が社会保険と年金積み立てを払うことによって貢献している反面、手厚い失業保険や生活保護を得ることによって財政を圧迫もしています。消費税率19%のドイツや20%のオーストリアでも移民政策は必ずしも上手く言っているとはいえないのです。また移民が現地社会に溶け込むことをどの国も希望していますが(現地語を習得するのはその一貫)、移民自身がもともとの自分の文化や習慣、言語を過剰なまでに維持し続けようとすると言う現実もあります。そして就業機会の少なさや低い教育レベルから犯罪に手を染めるケースも多く、これも社会問題になっています。日本においてはまずは移民に語学教育と職業訓練をする前に、日本人の若年層の教育と職業訓練するべきではないでしょうか。日本人が就業する道を確立させて、その後に初めて移民についての議論が始まると思います。(2009/12/03)

「移民YES」のバックナンバー

一覧

「ドイツの苦悩―移民の失敗、繰り返さない」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ドイツの官僚がシステムとしての移民製作を語るのと、ドイツ国民が感情として移民をどう見ているのかには、乖離があることを認識するべきです。ドイツやオーストリアではガスとアルバイターとして移民を受け入れてから、さらに最近のEU拡大に伴って、イスラム圏や旧共産圏からの移民と難民が加速度的に流入してきています。移民・難民親和政策を取ってきたドイツのSPD(社会党)が国民の支持を失い、却ってFPD(自由党、一部極右)が台頭してきていることは切り離しては考えられません。義務教育期間ではクラスの半分以上がドイツ語を理解できずに教育の質の劣化が問題になっています。就業している移民が社会保険と年金積み立てを払うことによって貢献している反面、手厚い失業保険や生活保護を得ることによって財政を圧迫もしています。消費税率19%のドイツや20%のオーストリアでも移民政策は必ずしも上手く言っているとはいえないのです。また移民が現地社会に溶け込むことをどの国も希望していますが(現地語を習得するのはその一貫)、移民自身がもともとの自分の文化や習慣、言語を過剰なまでに維持し続けようとすると言う現実もあります。そして就業機会の少なさや低い教育レベルから犯罪に手を染めるケースも多く、これも社会問題になっています。日本においてはまずは移民に語学教育と職業訓練をする前に、日本人の若年層の教育と職業訓練するべきではないでしょうか。日本人が就業する道を確立させて、その後に初めて移民についての議論が始まると思います。(2009/12/03)

この手の話を聞いて毎回不思議なのですが、前提としている1000万人の労働力不足はやってきません。現在でも潜在失業率が10%以上あるので、人間は余っています。この点で論点が偏っています。優秀な人間が不足しているという意見には賛成しますが、日本語という非関税障壁は双方向に存在します。苦労して日本で就労した優秀な外国人にとっての出口戦略が見えません。また、単純労働者という意味では、そもそも人間が必要とされていた製造業の事業所が海外移転しているのに、これ以上人間が必要だという根拠に乏しい。市場が縮小するのは別に問題ないでしょう。そもそも、この狭い日本で1億人もいることがおかしい。日本が経済大国であるという幻想にしがみつきがちですが、戦後の復興は、朝鮮戦争、プラザ合意以前の超円安、不動産バブルなどによってもたらされたもの。たまたま運がよかっただけ。1990年以降は人口が減っていないにもかかわらず、20年近くの不景気が続いています。これが実力値です(2000年以降は労働者分配率が減っているので国民全体にとっては成長ではありません)。身の丈にあった経済を営めば良いのでは。資本主義は拡大再生産が基本らしいので、企業としては海外に進出していけば良いと思います。税収不足は税制の問題なので、所得税・住民税に代わる制度を作れば良いだけの話です。金持ち優遇は批判されるらしいので、相続税を100%にすれば財政赤字は解決します。国債もすべて償還できます。金持ちは海外には逃げません。資産のほとんどが不動産なのですから。人口が減るなら、行政サービスの量も減らせばよいです。政治家が間違った判断をしなければ、財政収支はいずれ均衡に向かうでしょう。この政治家が一番問題ですが…。また、記事についてですが、公衆に向けて発信するものであれば、pros and consを示さないと、説得力に欠けます。たまたま上手くいった国を挙げるのは公平ではありません。(2009/12/03)

移民YESシリーズはもしかして毎日更新?日経の必死さがひしひしと伝わってきて笑えます。(2009/12/03)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

店長や売り場主任などの管理職は、パートを含む社員の声を吸い上げて戦略を立てることが重要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長