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移民の経済効果はマイナスにもなる

単純労働者の増加が低収益産業を延命させてしまう

  • 小瀧 麻理子

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2009年12月4日(金)

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 生産性の低い産業で安易に外国人を労働力として受け入れると、経済全体へのマイナス効果が大きくなる――。

 三菱総合研究所が2003年に、外国人受け入れの日本経済に対する効果をシミュレーションしたところ、このような結果が出た。受け入れる外国人の教育水準や滞在期間などによっても影響の度合いは異なるという。

 治安、教育、社会保障、文化と様々な側面を持つ移民問題だが、経済効果の観点での検証は日本ではまだほとんどない。調査内容とともに、調査を行った同社の経営コンサルティング本部労働政策分析担当の木村文勝研究部長の意見を紹介する。

 調査は厚生労働省からの委託を受けて、三菱総合研究所が2003年に行った。

 まず、2000年時点の男女の労働力率実績を元に、資本配分を変えずに、2025年までの潜在成長率を試算。下記の基本パターンを出した。

■産業全体の成長率
 ・ 2005~2010年 ―― 0.65%
 ・ 2010~2015年 ―― 0.69%
 ・ 2015~2020年 ―― 0.76%
 ・ 2020~2025年 ―― 0.71%

高度人材受け入れは女性・高齢者活用に次ぐ効果

 さらに産業を生産性の高低、貿易財・非貿易財の観点で4つに区分して成長率を見てみた。(調査の詳細を記事の最後に掲載)。

・ 産業(1)生産性高・非貿易財 金融、通信、教育、医療など
   
・ 産業(2)生産性高・貿易財 自動車、電機など
   
・ 産業(3)生産性低・貿易財 農林水産業、繊維工業、食品加工など
   
・ 産業(4)生産性低・非貿易財 運輸、小売、外食、介護などのサービス、電気・ガスなど

 先に記した基本パターンに対して、仮に女性や高齢者などの労働参加を進めた場合や雇用の流動化・労働の質向上を進めた場合と、外国人の受け入れを進めた場合についての成長率を算出し、2020~25年の基本パターンとの差を比較した。

 その結果、最もマクロ成長率の改善が見られたのは、女性や高齢者などの活用を促すパターンだった。マクロで最大0.17ポイントのプラス効果が見込める。

 これに対して、外国人を受け入れた場合では、大学を卒業している35歳未満の外国人を、日本人と同じ処遇で受け入れるパターンでは、マクロ成長率は0.06ポイントと、女性や高齢者活用に迫る良い結果が出た。

 一方で、最も悪い結果が出たのは、35歳未満の外国人(学歴不問)をいわゆる単純労働者として、産業(3)と産業(4)だけに500万人受け入れたパターンで、マクロ成長率は0.87ポイント悪化した。

(以下、聞き手は小瀧 麻理子=日経ビジネス記者)

女性、高齢者の活用は経済にプラス

 ―― 調査実施の経緯を教えてください。

三菱総合研究所経営コンサルティング本部の木村文勝・研究部長

 木村 少子高齢化による労働力供給の減少、経済成長の制約の対策として外国人を受け入れるという意見があります。

 しかし、その経済効果の観点での判断基準がこれまでほとんど提供されてこなかった。様々な側面はありますが、日本の経済成長制約に対して外国人の受け入れが本当に効果があるのか、ということを検証したかったのです。

 受け入れのパターンとして、中卒の生産工程従事者(いわゆる単純労働者を想定)、高卒の生産工程従事者、高卒の専門・事務・管理従事者、大卒の専門・事務・管理従事者に分け、定住型、一時的といった12の外国人受け入れパターンを組み合わせました。

 それらと、高齢者や女性の労働力率が向上する5パターンを比較しました。ちなみに、外国人を受け入れる上での社会コストは調査には含めておりません。

 ―― 調査結果からどのようなことが言えるのでしょうか。

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