「マニラ便り―アジア経済の現場から」

パプアニューギニアが日本を超える日

太平洋島嶼国の課題と展望

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2009年12月4日(金)

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 パラオやフィジーのような太平洋の島国のことを考えられたことがあるでしょうか? こうした太平洋島嶼国を観光で訪れたことのある方々は、美しい自然と素朴な人々の魅力に感動を覚えられたことでしょう。私も、トンガやパプアニューギニアを訪問し、同様な印象を持ちました。

 ただ、これら諸国の多くは社会経済的にさまざまな問題を抱えており、貧困削減もなかなか進まない状況にあります。この数十年の間に、大半のアジア諸国は急速な経済発展と貧困削減を達成してきましたが、太平洋島嶼国はその重大な例外だといえます。

 アジア開発銀行(ADB)には、実に14カ国もの太平洋島嶼国が加盟しており、国数だけでいえば、借り入れ国の3分の1以上を占めています。ただ、いずれの国も人口は少なく、14カ国の全人口を合計しても1000万人にも満たない状況です。しかも、これら14カ国が数千キロに及ぶ太平洋に広く散らばっているのです。

 そこで、今回は、あまり日本の人々に知られていない太平洋島嶼国の課題と展望について述べたいと思います。そして、これら諸国に対する関心を高めていだければ幸いです。

太平洋島嶼国の経済動向

 まず、14の太平洋島嶼国の経済動向を次の指標で見ていただきたいと思います。

  人口(万人) 1人当たりGNI
(2007年、米ドル)
平均成長率
(1998〜2008年、%)
平均人口増加率
(同左)
クック諸島 2.1 9986 3.7 1.9
フィジー諸島 83.6 3750 2.0 0.5
キリバス 10.8 1120 0.5 0.1
マーシャル諸島 9.7 3240 1.6 1.7
ミクロネシア連邦 5.3 2280 2.3 0.5
ナウル 1.0 2314 -9.6 0.3
パラオ 2.0 8270 1.0 0.9
パプアニューギニア 645.0 850 2.4 4.1
サモア 18.2 2700 3.6 0.6
ソロモン諸島 52.5 750 1.4 2.9
東チモール 108.1 1510 -1.8 2.0
トンガ 10.2 2480 1.8 0.3
ツバル 1.0 2718 3.0 0.5
バヌアツ 23.3 1840 2.4 2.5

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著者プロフィール

黒田 東彦(くろだ・はるひこ)

黒田 東彦アジア開発銀行(ADB)総裁。1944年生まれ。67年東京大学法学部卒業後、大蔵省入省。71年オックスフォード大学経済学修士。96年財政金融研究所長、97年国際金融局長、98年国際局長。99年7月から3年半にわたって財務官を務める。2003年3月内閣官房参与、同年7月から一橋大学大学院経済学研究科教授を兼務。2005年2月から現職。著書に『元切り上げ』『通貨の興亡』『財政金融政策の成功と失敗―激動する日本経済』など。『経済危機は9つの顔を持つ 』(8月12日発売)では、経済学者の竹森俊平氏と行った対談を収録。



このコラムについて

マニラ便り―アジア経済の現場から

アジア開発銀行(ADB)は世界の67カ国が加盟する国際機関であり、1966年に創設されて以来、その本部はフィリピンのマニラにあります。そして、北はモンゴルから南はインドネシアまで、東は太平洋島嶼国から西はグルジアまで、広くアジア・太平洋の開発途上国の経済発展を支援しています。そこで、「マニラ便り―アジア経済の現場から」と題して、日本から見たものとは少し違ったアジア経済の現場に関する情報を発信していきたいと思います。

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