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投げ込んでみた直球と、現実

Opportunity Schoolで教えてみる【その10】

  • 林 壮一

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2009年12月17日(木)

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 およそ3カ月ぶりに会う少年は、見違えるほどに背が伸びていた。相変わらず、派手な寝癖がついている。この状態のまま登校させる親の神経が信じられなかった。

(少年の以前のエピソードは、「担任を殺そうとした少年と向き合う」から)

「先生、久しぶり!」

 ワオ! と声を上げながら胸に飛び込んで来た彼の顔は生き生きとしていた。無邪気に見えるが、先週、またトラブルを起こしたという。

 12月の2週目、私はOpportunity schoolで初めて担当した少年の学校に出向いた。授業が気に入らないと席を立ち、妹を連れて帰宅しようとしたそうである。

 数日前、テイラー・ハーパーは彼の状況を説明しながら告げた。

「あなたの言うことなら素直に聞くかもしれないから、一緒に行ってくれない?」
「喜んで」

 私自身も、少年に会いたかった。

 ハーパーも語ったが、少年をOpportunity schoolから一般校へ戻すタイミングが、早過ぎたのかもしれない。彼は新しい学校でも問題児として扱われている。ただ、もういじめのターゲットにはなっていなかった。

「それだけでも、進歩だと思いたいね」

 私の言葉に、ハーパーは眉をひそめた。

「でも、集団行動がとれないんじゃ、先が思いやられるわよ」

 少年の通う小学校の校長と挨拶を交わし、応接室で少年を待つ。私には笑顔を向けてきた少年だが、テイラーに対しては浮かない表情で応対した。

「つまらないんだよ、学校が!」

 テイラーは諭すように話した。

「つまらない、面白くないって投げ出してしまったら、いずれあなたが困ることになる。きちんと課題をこなせば、また日本語のレッスンを用意するわ。こちらもそのつもりで準備しているから」
「直に日本語の勉強をしたいな」
「その前に、やらなきゃならないことがあるでしょう」

 私個人としては、明日からでもこの学校に通い、マンツーマンの日本語レッスンを施してやりたかった。だが、当校の校長とハーパーの間で話し合いが持たれ、まずは小学6年生としてのカリキュラムをこなし、学校に馴染ませてからと方針が決まっている。

 ハーパーのお説教を受けた少年と2人きりで会話する時間を貰った。

嫌いなことに挑むすべ

「友達はできたか?」
「まぁね」
「前の学校よりも楽しい?」
「うん」
「嫌いな科目があるんだな」
「そうなんだ」
「何が嫌なの?」
「数学とか、理科とか」
「学校が嫌いなわけじゃないんだろう?」
「それは・・・そうかな」

 私は少年の肩を掴みながら言った。

「しばらく見ない間に大きくなったな」
「うん。もう、ママの背を追い越しそうだよ」

 敢えて陽気な調子で伝えてみた。

「オレも数学は全然ダメだったよ」
「本当?」

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