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学ぶことへの一歩 ―― 少年は「東京ローズ」への興味を見せた

Opportunity Schoolで教えてみる【その11】

  • 林 壮一

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2009年12月24日(木)

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【今回の少年の、前のエピソード『いじめに耐えかねた小学生は、銃を忍ばせて登校した』から読む】

 12月の第2週、リノは4年ぶりの大雪に見舞われた。全ての公立校が閉鎖されるほどのドカ雪である。特別校とはいえ、“公立”であるOpportunity Schoolも休みになった。

 一般校が午前8時55分から15時までであるのに対し、Opportunity Schoolは午前7時30分から午後12時半までが学習時間となっている。雪で学校閉鎖となった翌日も、2時間遅れで授業開始となったため、数日間、少年の顔を見ることが出来なかった。

 6日ぶりに少年と再会した私は、授業前に10分くらい雑談する時間を持った。

「僕、雪が好きだな。とても綺麗だし、いつも見ている景色が別世界になるよね」
「休みの間はどうしていた?」
「パパとスノーマンを作った」
「楽しんだかい?」
「うん、とっても」

 少年と継父の関係は良好のようだが、彼はしばしば離れて生活する実父への愛情や寂しさを伝えてくる。

「クリスマスはオレゴンに行くんだろう?」
「うん。もう一人のパパともスノーマンを作りたいよ」

 実父は息子の言葉を、どんな思いで聞くのだろうか。この子も家庭の事情が原因で、Opportunity Schoolに送られたタイプかもしれない。

 話題はスノーマンから逸れ、ここ数カ月間にこなした私の仕事に及んだ。

「先生は、好きな職に就けたんでしょう」
「そういうことになるね」
「最近、楽しかった仕事は?」

 幾つか例を挙げることが出来たが、少年の興味をひきそうなNBA選手へのインタビューについて私は喋った。

 彼はアルストンよりもアイバーソンの足跡に強く反応した(アイバーソンのエピソードはこちらから)。

アイバーソンからのメッセージを伝える

「自分を信じたから、アイバーソンは成功したんだろうね」
「信じ切れたんだろう。人生に勝てる人間って、そういう人が多いよ」
「でも、ゲットーで水道もないような暮らしって、大変だっただろうな」

 本連載の、前々回に使用した写真を手にしながら少年は言った。

画像のクリックで拡大表示

「キミには想像もつかない暮らしだろう?」
「彼はメンタルが強いんだね」

 細い身体を撫でながら、私は告げた。

「キミも、強い精神を作ってみろよ」
「うん」

 か細い声で少年が答える。

「アイバーソンから貰ったメッセージは3つ。まず、目標を定めて走ってみること。自分を信じて邁進すること、そして夢を絶対に諦めないこと。分かるか?」
「はい」
「キミの目標は何だい?」
「海軍に入ること」
「そうか、ならばそれに向かって頑張れ」
「やってみます」

 少年が海軍兵を目指すのは、実の父親がその仕事に就いていたからである。とはいえ、実父はドラッグに溺れ、リハビリセンターを出たり入ったりしている男なのだった。

「先生、東京ローズを知っているでしょう?」

 少年が突然尋ねてきた。

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