「吉田鈴香の「世界の中のニッポン」」

タリバンを相手に「勝ち目」はない

「戦の終わり」を宣言した米国と、事実上「単独支援」を表明した日本

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2010年1月13日(水)

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 国際社会が今年迎える山場の1つが、アフガニスタンである。昨年12月1日、オバマ米大統領は3万人の増派を決定し、同時に2011年7月に撤退を開始すると宣言した。米軍に促されて、韓国軍やスペイン軍など増派の方向へと歩みを進める国もある。

 日本は11月10日首相官邸がアフガニスタンへの大々的な支援を発表した。それは軍事行動ではなく日本独自の民生支援だ。

 タリバン掃討はできるか、アフガニスタンの人々はどうなるのか、国際社会のアフガニスタンへのかかわりについて考えてみたい。

カンダハールから始まったタリバンの進軍、そこを狙う米軍

 米軍は、カンダハールをタリバンから奪還する作戦を取ろうとしている。

 カンダハールは、タリバンが軍事行動を始めた地域だ。タリバンはここを拠点にして急速にほかの地域に支配地を広げ、1995年9月にはイラン国境のヘラート州を制圧、カブールも1年後には占領した。米軍がカンダハールの奪還を目指すことは、タリバンの本拠地をつぶす意味合いがある。

 しかし、オバマ大統領が終わりを区切っての戦を宣言したことは、共和党のマケイン議員など戦争を良く知る人々には不興だ。結果に関係なく作戦を終えるのであるから、あらかじめ敵に背中を見せているようなものともいえる。

 敵であるタリバンとアルカイーダから見れば、それはあらかじめ勝利を手にしているかのような戦いであろう。タリバンは、それまで時間稼ぎをすればいい、

 いや、二度と起き上がれないくらい叩きのめしてやる、と思っているかもしれない。戦い方の常識からすると、極めて異例であるのは間違いない。

偵察隊20人中1人だけ生き残った兵士

 ここに1冊の本がある。『アフガン、たった一人の生還(原題:Lone Survivor)』(2009年、亜紀書房発行)という。アフガニスタンのヒンズークシ山岳地帯へ、偵察隊の一員として送り込まれ、ただ1人生還した米軍兵士の戦いの記録である。

 著者の名は、マーカス・ラトレル。米国海軍SEAL部隊SDV(シール輸送潜水艦)第1チーム所属の3等軍曹。スナイパーであり衛生兵だという。

 軍事知識のある人ならばこれだけで分かると思うが、最精鋭の特殊部隊である。米軍は、アフガニスタンには陸軍グリーンベレーやレンジャーだけではなく、シールのような海を主戦場とする特殊部隊も動員している。

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著者プロフィール

吉田 鈴香(よしだ・すずか)
ジャーナリスト

吉田 鈴香1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。
主な著書に『アマチュアはイラクに入るな』(亜紀書房)、『紛争から平和構築へ』(論創社、共著)など。ウェブサイト「吉田鈴香が見る世界」も公開中。Twitterのアドレスはこちら



■編集部よりお知らせ
本コラムの著者である吉田鈴香さんが参議院選挙に立候補することになりました。 そのため新着記事の更新を停止いたします。[2010年6月14日]

■筆者より
2年弱、読者の皆様の叱咤激励に支えられながら続けてまいりましたことに厚く お礼を申し上げます。ご愛読ありがとうございました。(吉田鈴香)



このコラムについて

吉田鈴香の「世界の中のニッポン」

東ティモールから旧ユーゴスラビア、シエラレオネ、イラクまで、世界の紛争地帯をジャーナリストとして訪ねてきた著者が、国際支援の現状、ODA(政府開発援助)に望むこと、武装解除と平和交渉などを鋭くリポートする。

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