「中国羅針盤」

人気寿司「モトローラ巻」を知っていますか

味だけではない、外食産業で勝つための法則

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2010年1月18日(月)

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 火警巻(消防巻)、紅色炸弾巻、菜青虫巻、忍者巻、そして摩托罗拉巻(モトローラ巻)…。これらは今、北京で大人気の日本料理店の寿司メニューだ。現地では「アメリカ寿司」と言われている。

とても日本料理屋と思えない内装

 大手家電メーカーの中国総本部もある北京市の光華路にあるこの店は、食事時ともなれば満席となる。昼の定食は75元(1元=約13.5円)からと決して安くはない。

 平均客単価は150元。価格帯からみれば高級レストランに属する。従って、お客のほとんどは、いわゆる中間層から上の人々だ。

 店内に入ると、わけのわからない「壁画」に度肝を抜かれる。良く言えばポップアート。悪く言えば落書き。天井にぶらさがる白い布は、多分、波頭をイメージしたのだろう。しかし、とても日本料理店とは思えない。

「アメリカ寿司」を出すレストランの内装
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 メニューはなんでもありだ。ステーキ、サラダ、うなぎ弁当、紙鍋(「大雪児」という)まである。そしてお約束のアメリカ寿司。

 オーナーは米国籍の台湾人。台湾から米国に渡り、そこでレストラン経営に乗り出し、数年前に北京にやってきた。

 当初は、握り鮨、てんぷら、しゃぶしゃぶといった、一般的な日本料理のメニューを出していたが、ほかの日本料理店との差別化ができないことや、どうがんばっても、ホンモノの日本食の味は出せないことから、思い切って、「アメリカ寿司」を出したのだという。

これが「アメリカ寿司」。お米はかなり柔らかい
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 これが当たった。

 店の一番人気は摩托罗拉卷(モトローラ巻)だという。海苔をコメの内側にして、ツナマヨネーズ、鮪を巻き込み、上に、飛び子と刻みネギ、それにゴマだれをまき散らしたものだ。このゴマだれがアクセントとなって、妙に「北京」を感じさせる。

 この名前は、モトローラの中国現法の社長が大好物だったことからきているそうだが、真偽のほどは分からない。しかし、モトローラの携帯は中国でトップシェアであり、誰でも知っている名前だ。無論、商標使用料は払っていないと思う。

 なぜ、こんなものが大人気なのか。

日本料理であって米国料理でもある「無国籍さ」

 北京で飲食店経営のコンサルを手掛ける中国人は、こう解説する。

 「普通の日本料理店は、もう飽きられています。刺身、てんぷら、それに居酒屋系のメニュー。どこに行ってもそればかりです。それに一般の中国人は生モノをあまり食べません。しかし、本格的な日本料理、ということになるとお金持ちの中国人でも敷居が高い。同じお金を払うのであれば、なじみのある中華レストランに行きます」

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著者プロフィール

上場 大(かみじょう・ひろし)

中国ビジネスのコンサルティングを手がける三学経営科学研究所シニアパートナー。 1955年生まれ。投資銀行勤務などを経てエコノミストとしての活動を始めた。前職時代は、北京駐在4年間を含む延べ17年にわたり、世界の主要金融市場で勤務。企業分析、財務デューデリジェンス(投資対象の適格性を把握するために行う調査活動)などの実務に精通しており、豊富な国際経験に基づく複眼的な中国分析を行う。



このコラムについて

中国羅針盤

政治や外交が複雑に絡み合う中国の経済・産業問題。ビジネスを展開しようとする日本企業が「先進国の常識」だけを携えて不用意に踏み込めば、足をすくわれる。中国を中心に海外勤務経験の豊富なエコノミストが、足で稼いだ現地の情報を交えて、中国の今を生き抜くための「羅針盤」を提供する。

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