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傷つき、困っている人を助けてはいけない

親切心を踏みにじる判決が示した“正しい処世術”

2010年1月15日(金)

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 2009年12月28日、河南省鄭州市の“二七区法院(裁判所)”は19歳の河南大学生である李凱強に対して次のような判決を下した。

 2008年8月21日15時14分、原告の宋某は自転車に乗って鄭州市金水路を北から南に向かい鄭州大学第一付属医院(以下「鄭大医院」)の立体交差のロータリーで、被告の李凱強が乗る電動自転車に引っ掛けられて負傷した。宋某は医院で診断後、医療費がないために自宅で療養して現在に至っている。

 裁判所は李凱強の電動自転車と宋某の自転車とが接触したことで交通事故が発生したものと認定するが、調査結果からは、事故が被告・原告のいずれの過失によるものであるか判定できない。そこで、公平の原則に基づき、原告である宋某の損害の合理的部分を双方で50%ずつ分担するのが比較的妥当であると考える。

 よって、李凱強は宋某に対して1万元(約14万円)の精神的慰謝料と治療費などその他費用の合計7万9000元(約111万円)を15日以内に支払うことを命ずる。

 2010年1月8日付の河南省の夕刊紙「鄭州晩報」は、1月6日午後に行われた李凱強とのインタビュー記事を掲載し、次のように報じた。

*   *   *

 事故当日、李凱強は電動自転車に乗って鄭大医院の通用門に差し掛かったが、電動自転車が電池切れとなりそうになったので、近くにある親戚の家で充電しようと速度を落とした。

 彼がロータリーを回って棉紡東路に入った直後、後方で「バン」という衝突音を聞いた。李凱強が後を振り返ると、1台の自転車が彼の電動自転車の後輪にぶつかり、老婦人が地上に座って、「ああ」と呻(うめ)いているではないか。

 李凱強は躊躇せずに老婦人を助け起こそうとしたが、逆に老婦人は彼にしがみつき、「あんたが私にぶつかって腰を痛めた」と大声を上げるではないか。これに驚いた李凱強は老婦人に「どうやって俺があんたにぶつかれるっていうのだ」と反駁した。

この女は当り屋、金を騙し取ろうとしている

 李凱強と老婦人の言い争いは2~3分続いたが、その頃には通行人が集まり周囲に人だかりができた。その中にいた子供を2人連れた中年の婦人が李凱強に近づき、「私はずっと見ていたけど、あんたはぶつかっていないよ。放っておきな」と告げた。

 それから間もなく、人だかりに気付いた巡査が現場へ駆けつけ、老婦人にどうしたのかを尋ねたが、老婦人は「こいつが信号機を無視してあたしにぶつかり腰を痛めた」と答えた。

 李凱強は、その時巡査が老婦人に向かって何回も「もう一度言うけど、ここには信号機はないよ」と言っていたのをはっきりと覚えている。

 それから老婦人は息子に電話を入れて迎えに来させ、李凱強も父親に電話を入れて面倒なことに巻き込まれた旨を告げた。

 その頃には既に彼らの周りの人垣は少なくなっていたが、その中の1人が「この坊やは全くぶつかっちゃいないよ。この女は当り屋だ。金を騙(かた)り取ろうとしているのさ」と声を張り上げた。

うやむやのまま終わったと思っていたが…

 そうこうする間に李凱強の父親と老婦人の息子が相前後して現場へ到着したが、老婦人の息子は治療費を出せと要求し、双方は対峙して譲らず、李凱強の父親は診察を受ける老婦人に付き添って鄭大医院へ行った。

*   *   *

 事件はそれでうやむやのまま終わりになったと李凱強も父親も思っていたのだが、そうは問屋が卸さなかったのである。

コメント18件コメント/レビュー

当然、助けてはいけない。これは中国だけの話しではなく、日本も同じです。例えば電車に乗っていて痴漢と間違えられた場合。ある法律相談のテレビ番組で、そこに参加していた弁護士さんが全員同じ答えを述べたのが現実だと思います。それは「逃げなさい」です。どんなに「痴漢」をしていなくても、警察まで付き合ったら必ず犯人にされ人生を滅茶苦茶にされるというのです。法は法で正しいが、中国の事件と同様に被害者が意図しようとしまいと、証言だけで証拠を持たずに検挙できる場合、それは全て犯罪者として扱われるのだということです。だから、決して【関ってはいけない】のであり、これは中国の話しではなく、日本も同様です。(2011/09/16)

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「傷つき、困っている人を助けてはいけない」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

当然、助けてはいけない。これは中国だけの話しではなく、日本も同じです。例えば電車に乗っていて痴漢と間違えられた場合。ある法律相談のテレビ番組で、そこに参加していた弁護士さんが全員同じ答えを述べたのが現実だと思います。それは「逃げなさい」です。どんなに「痴漢」をしていなくても、警察まで付き合ったら必ず犯人にされ人生を滅茶苦茶にされるというのです。法は法で正しいが、中国の事件と同様に被害者が意図しようとしまいと、証言だけで証拠を持たずに検挙できる場合、それは全て犯罪者として扱われるのだということです。だから、決して【関ってはいけない】のであり、これは中国の話しではなく、日本も同様です。(2011/09/16)

大陸と半島の国が人助けをすることなんてしないだろう。自己主張と他国への干渉はするけどね。(2010/01/19)

中国は好きです。付き合いのある友人もいっぱいいます。でも記事に書いてあることは本当。普通の中国人でも法律を遵守するという概念がすごく希薄です。ましてや悪意をもった(持っているかもしれない)相手に対する対応は、無視、が一番なのですね。まともな法治ではないからでしょうか。商売は中国、住むのは日本、と使い分けています。(2010/01/19)

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