今や衆議院の3分の2を占める民主党であるが、政権を率いる鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長には、本質的に重要なものが欠如している。それは、「コスト」意識である。
「恵まれた家庭に育った」彼らは、政治資金の管理がずさんなばかりか(小沢幹事長については、到底ずさんには思えないが)、大切な「コスト」意識が欠如してしまったのである。
コストとは、機会費用、つまり時間、カネである。小沢幹事長の政治資金問題とそれに対する首相の「戦ってください」発言、鳩山首相自身の「子ども手当」問題など、コスト意識があればとっくに解決済みの案件である。
コスト意識があればとっとと釈明している
小沢幹事長は政治資金問題が明るみになった昨年3月の時点で、その後の“コスト”を考えれば、釈明することを決断しただろう。
そもそも、代表を辞任した時点できちんと自らの政治資金問題を公に説明する機会はいくらでもあった。そうすればせっかくできた民主党政権を揺るがすことはなかった。反抗しない若い民主党議員への冷笑を買うこともなかった。
鳩山首相は「検察の捜査にお任せします」などと、検察をあたかも会計事務所のように使って時間稼ぎをせず、自らのあり余る財産を使い弁護士と会計士を山ほど雇って自分の政治資金問題くらい自分で調べればよかった。
そうすれば、調査に要するコストは鳩山首相本人に限定され、検察にかかる財政支出を無駄遣いせずにすんでいた。選挙前に越えられたハードルだったのに。
この2つの事件は、政府の政策の失敗ではなく、もっぱら政治家個人が生んだ問題だった。にもかかわらず、両者に「コスト」意識がないために、国家財政に負担をかけ、いたずらに時間を使い、さらに政府への不信認を招いている。
歩き出そうとしたら自分の右足で左足を踏んで、コケてしまったのである。
判断・決断できる人が政府内にいない
民主党内の言論統制は厳しいらしく、反小沢の狼煙(のろし)を上げる議員もない。民主党は多様な意見を取り入れる政党ではないことが、これで鮮明になってきた。いや、いないのは、反論する人だけではない。判断し意思決定する者がいないのである。
現政権の根本的な問題は、政府内にタイミングよく判断し決定をする人がいないことに尽きる。
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1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。







