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米国諜報史上に残るCIAの大失態

あまりにも痛い「ダブルスパイによる自爆テロ」

2010年1月25日(月)

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 2009年12月30日、米国諜報史上に残る大惨事が発生した。

 アフガニスタン東部のホースト州にある米中央情報局(CIA)の基地で自爆テロが発生。7名のCIA要員と1名のヨルダン政府関係者等が死亡した。「一度にこれだけ多数のCIA要員が殺害されたのは、過去30年間を振り返っても例がない」と言われており、米国の諜報史上に残るCIAの大失態として記録された。

 しかも自爆テロ犯は、CIAが911テロ事件以来、緊密に協力してきた親米アラブ国家ヨルダンの情報機関がアルカイダに潜入させていたスパイだったことが明らかになっている。つまりCIAは、「ヨルダン情報機関とアルカイダの二重(ダブル)スパイによる自爆テロ」という前代未聞の手法で、奈落の底に突き落とされたのである。

 このテロ事件は、これまで秘密のベールに包まれてきたCIAのアフガニスタンでの対テロ戦争の一端に光を当てると共に、米国情報機関の脆弱さや対アルカイダ戦争の困難さを改めて浮き彫りにし、「オバマの戦争」の先行きに暗雲を漂わせている。

テロリストの勝利の瞬間

 欧米メディアの報道などを総合すると、事件の概要は次の通りだ。

 2009年12月30日の朝、パキスタンで「諜報活動」に従事していたヨルダン情報機関GIDのスパイで医師のフマム・ハリル・アブムラル・バラウィが、パキスタンとアフガニスタンの国境の1つグラーム・ハーンを通過し、あるアフガン陸軍のコマンダーと落ちあった。

 通称「アルガワン」と呼ばれるこのアフガン軍人は、ホースト州にあるCIAの「チャップマン」基地の警備責任者をつとめていた人物だった。二人はホースト州の近くの村メルマンディまで車で向い、そこに用意してあった赤のトヨタ・カローラに乗り換えた。アルガワンがこのカローラを運転し、ヨルダン人スパイ、バラウィは後部座席に座った。

 そこからCIAのチャップマン基地までは約40分。地元ではここがCIAの基地であることはよく知られており、厳重な警備態勢が敷かれていた。高い土壁で囲われた基地の外周には数多くのアフガン人警備員がAK-47軍用ライフルを手に警備を行っていた。基地の周囲4カ所には要塞化された見張り塔があり、監視要員が24時間体制で警戒を続けていた。また基地の敷地内にはさらに蛇腹形鉄条網のついたフェンスがあり、さらに3つ目のゲートにはアメリカ軍の兵士たちが警備にあたっている。

 この3層にわたる警備体制があったにもかかわらず、バラウィを乗せた車は一度もセキュリティ・チェックを受けることなく、CIAや陸軍情報部の建物が並ぶ基地の内部にまで到達できた。

 外周警備にあたるアフガン人たちにこの重要なスパイを見られたくなかったためか、警備員たちは「この赤いカローラの客人にセキュリティ・チェックをすることなく基地内に入れるように」と事前に指示を受けていた。基地内に入ってからは、このカローラを米陸軍のエスコート車両が先導したという。

コメント5件コメント/レビュー

米軍はそのアナウンスからも日本に対するかつての勝利が忘れられないと見える。事情は全く違う。原因は貧困ばかりではない。日本人ボランティアも少し前に犠牲になった。撤退した後ベトナムのような安定した国になれればよいが。(2010/01/26)

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「米国諜報史上に残るCIAの大失態」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

米軍はそのアナウンスからも日本に対するかつての勝利が忘れられないと見える。事情は全く違う。原因は貧困ばかりではない。日本人ボランティアも少し前に犠牲になった。撤退した後ベトナムのような安定した国になれればよいが。(2010/01/26)

CIAとヨルダン情報部の関係には以前から注目していたが、こんなに身近な事件として表面に現われたことに驚いた。今回の事件によって、アフガン戦争における米国の劣勢と、この戦争の本質がよりあらわにされたと思う。(2010/01/26)

いずれにしてもテロには勝てないことを悟るべき、今のやり方では。テロ防止にかける予算をテロリスト再生産防止にかけたほうがいい。政治的動機があったとしても、貧困が底にあることは否めない。この世の悪は、半分以上は貧困が原因と行っても言い過ぎでないこと、この年(63歳)になってやっと悟りました。(2010/01/25)

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