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子供の養育費のために人生を捧げる

“多子多福(子供が多ければ福も多い)”は昔の話、今の親は「奴隷」

2010年1月29日(金)

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 中国でまた“孩奴”という「新語」が生まれた。2010年1月早々から中国のメディアは、「従来の“房奴”、“車奴”、“卡奴”に続いて、新たに“孩奴”が出現」と報じている。

 筆者は2007年11月2日付の本リポート『中国の造語に「奴隷」という言葉が増えている』の中で、“房奴”、“車奴”を含む末尾に“奴”を持つ新語を7つ紹介した。当時、“卡奴”は7つの新語に含まれていなかったが、その後「新語」として定着したものである。

手に入れた代償として金銭的な「奴隷」と化す

 それでは、上述の“房奴”、“車奴”、“卡奴”とは何を意味するのか。概念を示すと次の通りである。

“房奴” 抵当ローンで住宅を購入して、人生の黄金時代を20年から30年にわたって毎年収入の40~50%、あるいはそれ以上の比率で元利を返済する都市住民。彼らは住宅ローンに押しひしがれる日々を送り、生活に余裕は全くない。
   
“車奴” 所得水準から考えたら分不相応なのに背伸びして自動車を買い、表向きは「生活の質の向上」と聞こえがいいが、実際は車のローン返済や維持費を捻出するために飲まず食わずの生活を送る人。
   
“卡奴” 現金がなくてもカードで買い物ができるので、安易にカード使用を繰り返してカード地獄に陥り、その返済に追われて、正常な生活が送れなくなった人。

 彼らは、住宅、車、買い物という物を手に入れた代償として金銭的な「奴隷」と化した人々であるが、これに対して“孩奴”はその「奴隷」と化す対象が「我が子」である点が異なっている。

 中国語の“孩子”とは「子供」を意味し、“孩奴”とは「子供の養育費用を捻出するために人生を捧げる人」を指す。

 “孩奴”に対する中国語の用語解説には、「人生のすべてを子供に注ぎ込み、子供を育てるために必死で働いて金を稼ぎ、自分の存在価値を喪失した父母」とある。「“孩奴”になったら、病気にもなれないし、高額消費もできないし、軽々しく転職もできない」と可哀そうな注釈が付けられている。

カネに困ったら親に頼ればよい

 ところで、中国で“房奴”、“車奴”、“卡奴”となっている人々の多くは、“80后(1980年代生まれの世代)”と呼ばれる人々なのである。

 彼らは中国で“独生子女(一人っ子)”政策が始まった1980年代に生まれ、父母それぞれの実家の血統を引く大切な後継者として蝶よ花よと愛(いつく)しまれ、父母とその双方の両親の計6人の大人たちの上に“小皇帝(小さな皇帝)”として君臨して、甘やかされて育てられた。

 欲しいものは何でも買ってもらえたから、成人してからも欲しい物があると、その欲求を抑えることが難しい。

 そうした環境下で育てられた彼らは自分の収入がいくらあるかを考慮せずに、自動車は買うし、高額な買い物に走る。

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「子供の養育費のために人生を捧げる」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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