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幻に終わる鉄鉱石の“中国価格”

鉄鋼メーカーの足並み乱れ、交渉でなすすべなし

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2010年1月29日(金)

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鉄鉱石談判外方不着急 中方恐再失首発権

経済観察報記者 万暁暁 / 張東向

鉄鋼業界をゆるがせた「リオ・ティントスパイ事件*」も、鉄鉱石の価格交渉の膠着状態に転機をもたらすことはなかった。中国の鉄鉱石需要は日増しに高まっているというのに、価格交渉力はまったく上がっていない。

*2009年7月、英豪資源大手リオ・ティントの社員4人が中国の国家機密を盗んだ容疑で当局に拘束された事件。中国の鉄鋼メーカーでも多くの関係者が事情聴取を受けたとされる。

 「今年の価格交渉に関する鉄鋼業界の懸念は、“中国価格”を実現できるかではない。鉄鉱石の世界三大サプライヤー(英豪リオ・ティント、同BHPビリトン、ブラジルのヴァーレ)が日本の鉄鋼メーカーとの価格交渉で先に合意し、アジア向けの価格がなしくずしに決してしまうことだ。このままでは、中国は(価格交渉の主導権を握れず)昨年同様の“受け身”に甘んじてしまう」。中国の鉄鋼メーカーのある幹部は、そう意気消沈の面持ちで語る。

鉄鋼メーカーと鉱山会社の接触が減少

 「三大サプライヤーが中国との価格交渉を急いでいないのは明らかだ。例年なら、価格交渉のシーズン*には鉱山会社の営業担当者がさかんに売り込みに来たものだが、今年は長期契約の価格交渉はもちろん、鉄鉱石の安定供給について先方と協議することすら難しい。さらに、彼らが提示する価格や条件は厳しくなる一方だ。例えばヴァーレは、中国向けの長期契約を減らし、スポット契約を増やすことを望んでいる」と、別の鉄鋼メーカー幹部は話す。

*世界の主要鉄鋼メーカーと鉄鉱石の三大サプライヤーは年末から個別に価格交渉に入り、最初に妥結したところの価格が事実上の標準価格になるのが慣例。しかし中国は、鉄鉱石の輸入量が世界最大であることを理由に、他国向けよりも低い“中国価格”を要求している。

 ある鉱山会社の中国向け営業担当者によれば、リオ・ティントスパイ事件の後も中国向け販売に障害はなく、鉄鋼メーカーの需要は引き続き旺盛だという。

 だが、事件の前と後では、サプライヤーと鉄鋼メーカーの付き合い方に変化が生じた。

 「先方とのやりとりは主に営業担当者を通じるようになり、内容も具体的な商談に関することだけに限っている。自社の生産計画や実績についての話題は避ける」「サプライヤー側との会議はもちろん、トップの相互訪問や接待も減少した。経営幹部が非公式の協議に臨む場合は、(外国人と会うだけで疑いをかけられる中国国内を避けて)香港やオーストラリアなどを会場に選んでいる」。ある鉄鋼メーカーの社員は打ち明ける。

 慎重になっているのはサプライヤー側も同じだ。「鋼材価格の先行きについては、鉄鋼メーカーからの情報に頼らず、GDP(国内総生産)や固定資産投資などマクロ経済のデータを基に独自に予測している。それを鉄鉱石価格の裏付けにしている」。ある鉄鉱石サプライヤーの中国担当幹部は、匿名を条件にそう語った。

中国より先に日本との交渉が妥結へ

 1月19日、ヴァーレの鉄鉱石部門を率いるホセ・カルロス・マルチンスは、同社の2010年の鉄鉱石販売量が(世界不況前の)2008年の2億8000万トンを超える可能性があるとしたうえで、次のように語った。

 「我が社は(鉄鋼メーカーとの)価格交渉を急がない。2009年の長期契約の大部分は期限が4月まで残っている。今年、鉄鉱石の国際市場では需要が急増しており、我が社の価格交渉に有利に働くだろう」

 一方、リオ・ティントとBHPビリトンは既に日本の鉄鋼メーカーとの交渉を開始している。それが順調に妥結すると、中国の鉄鋼メーカーは昨年と同様、他国が決めた“事実上の標準価格”を受け入れるか否かという苦しい判断を迫られることになる。

 昨年、中国の交渉窓口である中国鉄鋼工業協会(中鋼協)は“事実上の標準価格”の受け入れを拒み、交渉は決裂した。しかし、各鉄鋼メーカーが原料確保のためにひそかに標準価格を受け入れていたのは公然の秘密。おかげで、中鋼協は交渉の席で常に受け身に回らざるを得なかった。

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