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湖北省の湖沼を守れという悲痛な叫び

過去50年間に1000個もの天然湖沼が消滅している

2010年2月12日(金)

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 2009年11月1日から5日まで湖北省の省都・武漢市の“武漢国際会展中心”で「第13回世界湖沼大会」が開催された。

 世界湖沼大会は、琵琶湖を擁する滋賀県が湖沼環境の保全を目的とする国際会議の開催を呼びかけたのに端を発するもので、1984年に第1回会議が滋賀県大津市で開催されて以来、原則2年毎に世界各地で開催されてきている。

世界45カ国から約1500人が参加

 中国では1990年に第4回会議が浙江省の省都・杭州市で開催されており、今回の第13回会議は中国で開催される2回目の世界湖沼大会であった。

 世界湖沼大会の事務局は滋賀県草津市に本部を置く「財団法人 国際湖沼環境委員会(ILEC)」であり、同大会はILECが開催国の環境関連組織や開催都市政府との共同主催の形式を取る。

 第13回大会の主催は“中国環境科学学会”、“中国環境科学研究院”、“武漢市人民政府”とILECであり、大会のテーマは「湖沼に休息を与え元気を回復させよう 世界の挑戦と中国の刷新 資源節約の友好型社会を建設しよう」であった。

 第13回大会には世界45カ国から約1500人の湖沼研究者や政府関係者などが参加し、5日間の会期を通じて活発な意見交換が行われたのだった。

総面積の3分の1に「アオコ」

 さて、第13回大会において中国側から報告された中国湖沼の現状は次の通りである。

[1] 気候変動と工業化、急速な都市化により、中国の湖沼は水面縮小、枯渇、水質悪化などの問題が顕著なものとなっており、一部の湖沼では水位の低下、湖水面と湖水量の減少が深刻化しており、甚だしきは枯渇に至る湖沼も出現している。
   
[2] 1950年代以降、全国の面積が10平方キロメートル以上の湖沼で、枯渇した面積は4326平方キロメートル、水面が萎縮した面積は9570平方キロメートル、湖水量の減少は516億立方メートル。
   
[3] 中国には約3000個の天然湖沼が存在していたが、過去50年間に1000個の内陸湖沼が減少しており、平均して毎年20個の天然湖沼が消滅している。
   
[4] 湖沼の水質汚染による富栄養化も深刻な問題となっている。1970年代における湖沼の富栄養化面積は135平方キロメートルであったが、近年の経済社会の急速な発展に伴い、現在の富栄養化面積は既に8700平方キロメートルに達しており、40年間で約60倍に激増した。2007年に主要な湖沼43カ所を調査したところ、27カ所の湖沼が富栄養化状態を呈していた。その中、太湖(江蘇省・浙江省)、巣湖(安徽省)、滇池(雲南省)など12カ所が重度の富栄養化状態に陥っていた。
   
[5] 過去湖沼の富栄養化は主として都市周辺の湖沼に限られていて、その面積は比較的小さかった。しかし、2000年以降、上述した太湖、巣湖、滇池など大型の天然湖沼ではアオコが大繁殖するようになり、全国の湖沼の富栄養化面積を急増させた。中国で3番目に大きい太湖の場合は1980年代にはその水質はII類であったが、2000年以降はV類或いは劣V類が主体で、アオコ繁殖が総面積に占める比率は3分の1になっている。(注)

(注)中国の水質基準は、I類(水源)~V類(農業用水)の5段階となっており、I~III類は飲料に適するが、IV類(一般工業用水)およびV類は飲料に適さない汚れた水。V類以上に汚れが激しいものを劣V類として分類している。

 人類にとっての重要な水源地である湖沼は大自然が人類に賦与した天然の宝庫であるが、中国ではその湖沼が、工業化や都市化の進展、国民の環境保護意識の欠如、さらに気候変動の影響を受けたことで、過去数十年に累積した負荷に耐え切れず、枯渇、水面萎縮、深刻な汚染を引き起こしているのが現状である。

21世紀には水を争うことになる

 第13回大会では中国の水資源について、「目下の水資源総量は約2.8兆立方メートルで世界第6位だが、1人当たりの平均水資源量は世界第121位の2200立方メートルに過ぎない。中国国内の660都市中の400都市は慢性的な水不足の状況にあり、その中の100以上の都市の水不足は非常に深刻な状況に陥っている」との説明がなされた。

 大会ではこうした中国湖沼の現状をも踏まえて次のように結論付けて、「武漢宣言」を採択して閉幕した。

コメント4件コメント/レビュー

かつての日本を見ているようです。■しかし、日本は戦後数十年をかけて改善してきました。その数倍の勢いで経済成長している中国は果たして日本の数倍の速さでこれらの問題を解決できるのでしょうか。■しかも、国民の大部分がまだ貧しい状態のまま、そのようなことが可能なのでしょうか。■もし、可能であれば実は中国のような独裁体制が最も優れた政治形態・・ということになるのですが。■また、このような水不足の中国から輸入される食糧は果たして本当に安全なのでしょうか。■水不足の中国から製品・食料を輸入すると言うことは、中国から水を収奪していることになりますが、本当にこのまま、安いというだけの貿易を続けてよいのでしょうか。沢山の問題を含んでいるようです。(百姓)(2010/02/17)

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「湖北省の湖沼を守れという悲痛な叫び」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

かつての日本を見ているようです。■しかし、日本は戦後数十年をかけて改善してきました。その数倍の勢いで経済成長している中国は果たして日本の数倍の速さでこれらの問題を解決できるのでしょうか。■しかも、国民の大部分がまだ貧しい状態のまま、そのようなことが可能なのでしょうか。■もし、可能であれば実は中国のような独裁体制が最も優れた政治形態・・ということになるのですが。■また、このような水不足の中国から輸入される食糧は果たして本当に安全なのでしょうか。■水不足の中国から製品・食料を輸入すると言うことは、中国から水を収奪していることになりますが、本当にこのまま、安いというだけの貿易を続けてよいのでしょうか。沢山の問題を含んでいるようです。(百姓)(2010/02/17)

中国の資本が、日本の水資源地域を買収しているという話を以前NBオンラインで見ましたね…(2010/02/12)

中国も世界中でいろんなことしてると、そのうち、テロリストが、黄河や揚子江の上流に、有毒の化学物質や、核のゴミを投棄して、使えなくするかもしれませんね。有毒の化学物質に関しては、大気汚染や水質汚濁、土壌汚染など公害を気にしない、日本の昭和の三丁目の夕日世代のような工場がすでに放出済みかもしれませんが。(2010/02/12)

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三品 和広 神戸大学教授