「吉田鈴香の「世界の中のニッポン」」

「夫婦別姓」放置した自民党の怠慢

現実を見ず、論点をはぐらかす抵抗勢力は「世襲議員」

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2010年2月24日(水)

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 2月19日、千葉景子法務大臣は選択的夫婦別姓制度の導入を目指す民法改正の概要を明らかにした。

 鳩山首相は16日、「私自身は夫婦別姓に前から基本的に賛成している。認めてもいいんじゃないか」と発言した。千葉法相は3月12日の閣議決定を目指しているようだ。

 それに対して、与党の一角を占める国民新党代表、亀井静香氏は、「国民新党が与党である限り、外国人参政権と夫婦別姓は認めない」と突っぱねた。

国連から勧告受ける

 千葉法相が提出する法案の柱は、男女差別の撤廃を目指すもので、婚姻年齢の統一など様々な改正が含まれる。特に議論となりそうなポイントは2つだ。

 1つは、選択的夫婦別姓である。結婚時に、夫婦で同じ姓を名乗る必要はなく、希望により、夫婦同姓か、夫婦それぞれの姓を名乗り続けるか、好きな方を選択できる制度のことである。子どもはどちらかの姓で統一する案が有力である。

 もう1つは、非嫡出子と嫡出子の相続における差別の撤廃である。非嫡出子(婚外子)の遺産相続を嫡出子のそれの半分とする民法を改め、同等にすることである。

 戸籍法を含む民法の改正は、実は日本にとって焦眉の課題なのである。昨年7月の国連の女性差別撤廃委員会の審議の結果、速やかな法制度化を求める勧告を受けている。

 女性差別撤廃条約は、1979年12月に国連総会で採択され、1981年9月3日に発効となった。これらの点については過去からも繰り返し勧告を受けてきたのだが、日本政府は無視してきたのである。

 日本は、国際社会でも特に制度化に消極的に見えるという、恥ずかしい事態となっている。

1996年に「決定」されていた法改正

 論点となっている2つは、全く新しい法案というわけではない。1996年2月26日、法制審議会総会において「民法の一部を改正する法律案要綱」の一部として決定されている事項だ。該当部分を書き出すと、次の通りだ。

 第三 夫婦の氏
一  夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
二  夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。
 第十 相続の効力
 嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同等とするものとする。

 政権交代の目に見える効果とは、前政権時代に着手されなかった重要案件に改めて取り組んだとき、現れるものである。その典型が、この選択的夫婦別姓であろう。

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著者プロフィール

吉田 鈴香(よしだ・すずか)
ジャーナリスト

吉田 鈴香1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。
主な著書に『アマチュアはイラクに入るな』(亜紀書房)、『紛争から平和構築へ』(論創社、共著)など。ウェブサイト「吉田鈴香が見る世界」も公開中。Twitterのアドレスはこちら



■編集部よりお知らせ
本コラムの著者である吉田鈴香さんが参議院選挙に立候補することになりました。 そのため新着記事の更新を停止いたします。[2010年6月14日]

■筆者より
2年弱、読者の皆様の叱咤激励に支えられながら続けてまいりましたことに厚く お礼を申し上げます。ご愛読ありがとうございました。(吉田鈴香)



このコラムについて

吉田鈴香の「世界の中のニッポン」

東ティモールから旧ユーゴスラビア、シエラレオネ、イラクまで、世界の紛争地帯をジャーナリストとして訪ねてきた著者が、国際支援の現状、ODA(政府開発援助)に望むこと、武装解除と平和交渉などを鋭くリポートする。

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