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番外編【最終回】 中国<A男>に会ってみた

銭の力で生き残れるのか、社会主義国家・中国

2010年3月3日(水)

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 「中国“A女”の悲劇」を連載している間、私はたくさんの<A女>(高収入、高学歴、容姿端麗、でも結婚できない女性)たちの生の声を記事にしてきたが、その男性版、<A男>の話はご紹介したことがない。喧嘩両成敗というわけではないが、最後に男性側の意見も聞いてみないと不公平だ。

遠藤誉の新刊が
当サイト連載をベースに登場!

 中国は、「共産党が支配する社会主義国家」がこの地球から消えていくのを防ぐため、個人による金儲けを解禁、奨励してきた。その結果、中国経済は大躍進を遂げ、人々はリッチになった。しかし、その一方で、職に就けない大卒者が七百万人にも達し、階級差が生まれ、農民たちは最下層で貧しさに喘いでいる。さらに結婚できない女性が増え、次代を担う子供たちの人口増加率も減少している……。

 国は生き残ったが、果たして「社会主義」は生き残ったのだろうか?

 昨年、60周年を迎えた新中国は、経済だけは加速しながら、その影で様々な問題が浮き彫りになってきている。「銭」に向かって進んだ結果、今何が起きているのか?

 中国で生まれ育った作者ならではの視線で、「金儲け」と「社会主義」の矛盾とからくりに迫る。

 日経ビジネスオンライン連載の「中国“A女”の悲劇」をベースに、改革開放によって中国がどう変わったのかを庶民目線で斬り込み、中国の現在を軽妙なタッチで描いた1冊。

 そこで私は百合網の慕岩副総裁を通して、「結婚したいと思ってはいるが、まだ結婚できていない<A男>」に会うことになった。

 一人目はファッション・デザイナー。名は宋勇。40歳。

 美術系の大学院で「衣装設計(ファッションデザイン)」を学んだあと、自分で会社を設立し、大いに当たった。日本のファッション雑誌や日本動漫等を通して、おしゃれに目覚めた中国の女性たちが、ファッション感覚を磨き始めたために、かなりハイセンスな女性服が爆発的に流行し始めたのだ。

 カーキ色のジーパンに、カーキ色のストライプが入った黒いTシャツを着て、颯爽と現れた彼は、とても40歳には見えない。マロン色のスニーカーの足取りが、実に現代的で軽快だ。ただ、肩まで垂れた滑らかそうな長髪を手で掻き揚げる様を見ると、「芸術家は髪を長くして手で掻き揚げるもの」、というやや古い感覚(芸術家気取り?)の域を脱していないのかな、というイメージを抱かせる。いけない、こちらもつい、厳しいチェックを入れてしまっているようだ。

 さて、宋勇氏。長身で細身。車は3台、家も3つも持っているという。もう、これを聞いただけで、どれだけの<A男>であるか、説明するまでもないだろう。

 そんな彼が、なぜ「結婚できない」のか、あるいは「しない」のか。

「今までに結婚なさったことは、ありますか?」

 取材を受けてくれるという目的で会ってくれているので、単刀直入に切り込んだ。宋勇の眼は一瞬、「おお、来たか!」とばかりに動いたが、すぐにそれは柔らかな微笑に変わった。

「やっぱり若い人がいいんですか?」

「いいえ、ありません。純粋な独身です」
「では、今後は結婚したいと思っていますか?」
「ええ、まあ。いい人に巡り逢えば……」
「いい人って、理想となさっているのは、どんな感じの人ですか?」
「う~ん、そうですねぇ……。成功したいという事業心のある人かな、先ずは」
「ほう……、事業心のあるひと……。ということは、それは、成功したか否かではなく、進取性を持っている人って意味ですね?」
「そういうことですかね、たしかに、現在成功しているか否かは、あまり関係ないかもしれません」

「成功しているとなると、かなり年齢的にも高くなっていますよね」
「そこですね、矛盾しているんです、自分の中でも。成功してしまっているような人は、当然、30を過ぎているような人が多い。そういう人は、個性が強いか、あるいは離婚しているか、という場合が多いんですよ」
「となると、もっと若い人?」
「ええ。20代です。自分の結婚の対象としては、20代の女性を考えています」
「やはり、若い人がいいんですね?」
「若いだけがいいわけではありませんが、やはり私の仕事柄……」

「なるほど。でもそれなら、あなたみたいに、金持ちで家も車も3つもあるほど成功していて、おまけにスマートでハンサムで……と、条件がここまでそろっていれば、若い女性はいくらでもいるんじゃないんですか?」
「いやぁ、それがなかなか……。相性の問題もあるでしょう? それに、若くて進取性があって、かつ性格もよくて、僕が好きになれる、という基本条件が満たされてないと、ただ若ければいいというわけではないし……」
「ああ、それはそうですよねぇ」
「ええ。それに、進取性というか向上心が強くて事業心もあるような女性は、がむしゃらで、女性的な優雅さを持ってないことが多いし、かと言って逆に、ただ女性的で美しいというだけでは、これまたおもしろくない。僕を頼り切って、家庭の主婦的なのは、付き合ってても、おもしろくないですからね。なかなかうまくいかないものですよ」

「今までに付き合ってきた女性は、どれくらいいますか?」
「そうですねぇ、3,4人くらいかな」
「で、そのどれも、あなたの要求には合ってなかったと……」
「まあ、そういうことになりますね。実は僕には、次のような信条があるんですよ」

 そう言いながら彼が挙げたのは、以下の3つの成句だった。

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「番外編【最終回】 中国<A男>に会ってみた」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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