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国際政治の表舞台に戻ってきた「詐欺師」

イラク選挙の背後で暗躍するイランのスパイ

2010年3月5日(金)

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 あの男が国際政治の表舞台に衝撃的なカムバックを果たした。

 アフマド・チャラビ。イラク国民会議(INC)を率いるシーア派のイラク人政治家だ。イラク戦争前には、在外イラク人亡命者を組織して反サダム・フセイン運動を展開し、はじめは米中央情報局(CIA)に雇われ、次に国務省から金を貰い、最後には国防総省をスポンサーにつけて米国をイラク戦争に駆り立てた男。

 ブッシュ前政権のネオコンに寵愛され、「イラク大量破壊兵器」情報や「サダム・フセインとアルカイダの関係」を示唆するイカサマ情報を米国に提供し、米国のイラク侵攻に一役買ったあの人物である。

 チャラビは、戦後のイラクにおいて、サダム・フセイン体制を支えたバース党員を徹底的に公職から追放することを狙った「非バース党化政策」を強引に推進し、事実上イスラム教スンニ派を政治プロセスから排除することで、シーア派・スンニ派の宗派抗争に火をつけ、戦後イラクを泥沼の内戦に陥れた張本人の1人である。

 あの悪名高い「戦争詐欺師」が、再びイラクをテロと殺人の恐怖に満ちた宗派闘争の混乱へと陥れようとしているのか・・・。

イラク安定化の鍵を握るスンニ派の政治参加

 イラクは現在、3月7日に予定されている国民議会選挙を前にして、激しい選挙戦の真っ只中にある。イラクの憲法によれば国民議会の定数は325議席で任期は4年。全議席の3分の2以上の賛成で「大統領」を選出し、新大統領は最大会派が推薦する人物を「首相」に任命し組閣を要請することになっている。つまり、この国民議会選挙により、次の大統領や首相、そして新政権の顔ぶれが決まり、今後のイラクの方向性が決定づけられることになる。

 それだけに、各勢力はこの選挙に向けて激しい選挙戦を繰り広げており、文字通り血生臭い権力闘争に発展している。

 イラクでは、2003年にフセイン政権が倒されるまで、少数派であるスンニ派が支配的地位にあり、アラブ社会主義を掲げるバース党による一党支配体制が敷かれていた。この間クルド人や多数派を占めるイスラム教シーア派は徹底的に弾圧され、圧政下に置かれた。ところが米軍によるフセイン政権の打倒後、シーア派とクルド人が中心となる新政権が誕生し、バース党に同調するものが公職に就くことは法律で禁じられるようになった。

 しかし、「一体誰がバース党員なのか」についての明確な定義は存在せず、実際にはかつて支配的な地位にあった少数派のスンニ派を排斥する際の根拠として、「バース党とのつながり」が政治的に乱用されてきたという経緯がある。

 フセイン政権崩壊直後には、「非バース党化政策」が導入され、旧バース党による権力構造が解体され、同党の指導者たちが権力の座から取り除かれたのだが、実際にはチャラビのようなシーア派の一部が、スンニ派に対する報復の意味を込めてこの政策を悪用・乱用したため、各省庁の中堅職員から小学校の教師まで含め、数百万人のスンニ派が一夜にして職を奪われることになった。

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「国際政治の表舞台に戻ってきた「詐欺師」」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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