Olga Kharif (BusinessWeek.com記者、オレゴン州ポートランド)
米国時間2010年3月14日更新「Readers Are Devouring Apple Book Apps」
長年テレビゲーム制作に携わってきたミシェル・クリパラニ氏は約1年前、電子書籍の人気にまだ火が付いていなかった頃、ダウンロード可能な電子書籍の開発を手がけ始めた。
当時、米電子機器大手アップル(AAPL)のオンライン販売サービス「App Store(アップ・ストア)」では、数千タイトルもの豊富なゲームアプリの品揃えを誇る一方で、電子書籍関連アプリはわずか700タイトルしか取り扱っていなかった。そこでクリパラニ氏は、「誰もがゲームアプリを作っているなら、自分は違うアプリを作った方が得策だ」と考えた。
クリパラニ氏の判断は正しかった。現在、電子書籍は大好評を博しており、電子書籍関連アプリのタイトル数はゲーム関連アプリの数を凌いでいる。App Storeの電子書籍販売本数ランキングトップ10には、同氏が率いる米ソフトウエア開発会社オーシャンハウス・メディアの電子書籍3タイトルが入っている。
アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」のアプリ利用動向を分析する米調査会社モブクリックスの調べによれば、iPhone利用者のアプリダウンロード数は、昨年10月時点では、携帯ゲーム6本に対し電子書籍1本の割合だったが、2010年2月には携帯ゲーム4本につき1本と、電子書籍の割合が増加している。
実際、電子書籍は今、iPhoneと携帯メディアプレーヤー「iPod touch(アイポッド・タッチ)」、4月3日発売予定の新型タブレット機「iPad(アイパッド)」向けのアプリを取り扱うApp Storeで、最大のコンテンツ数を誇るカテゴリーに成長している。モブクリックスによると、App Storeで販売している電子書籍アプリの数は2万6976タイトルに達し、ゲームアプリの2万5330タイトルを上回っている。
App Storeでの電子書籍の人気の高まりは、オーシャンハウスのようなソフト開発会社だけでなく、出版社にも恩恵をもたらしている。さらにこの人気は、アップルの携帯端末が、米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コム(AMZN)の「Kindle(キンドル)」やソニー(SNE)の「リーダー」をはじめとする電子書籍専用端末に取って代わる可能性を示している。
アップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は1月、電子書籍閲覧機能を重視したiPadの発表会見で、「当社はアマゾンを手本にし、さらにその先を行く」と述べた。
アップルの広報担当トム・ノイマイヤー氏は、iPadの具体的な事業計画についてコメントを避けた。アマゾンの担当者からは返答を得られなかった。
iPad用電子書籍ストアに接続可能なアプリ「iBooks」をリリース
電子書籍関連アプリの価格や形態は様々で、書籍1冊分のアプリもあれば、書籍数冊を1つにまとめたものもある。オーシャンハウスの一番の売れ筋商品は、価格99セント(約90円)の、子どもの文字学習用に人気の絵本、ドクター・スース作『ABC』だ。
米ソフト開発会社スプレッドソングは、ブラム・ストーカー著『吸血鬼ドラキュラ』やダニエル・デフォー著『ロビンソン・クルーソー』などの古典2万3469作品を閲覧できるアプリを、1ドル99セント(約180円)で販売している。同社のコリン・プラモンドンCEOによれば、同アプリのダウンロード数は過去9カ月間で10万件を超えているという。
アプリの販売におけるアップルの取り分は売上高の30%で、残りをアプリ販売元が受け取ることになっている。アップルはiPadの発売に合わせて電子書籍用アプリ「iBooks(アイブックス)」をリリースし、iPad用電子書籍ストア「iBookstore(アイブックストア)」から電子書籍を購入し、閲覧・管理ができるようにする。iBookstoreでは、米サイモン・アンド・シュスターや英ペンギン・ブックス、米ハーパーコリンズ・パブリッシャーズなどの大手出版社が電子書籍を販売する予定だ。
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