「吉田鈴香の「世界の中のニッポン」」

「生方解任騒動」が明らかにしたもの

国民の声を代弁すれば、党に切られる現実

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2010年3月24日(水)

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 前回、「皆で政府にウィッシュリストを出そう」と読者に呼びかけた。3月22日までに262件のご意見が寄せられた。初めての新しい試みに対し、熱意あふれる様々なご意見を下さった読者に深く感謝したい。

「国民−政府」のチャネルがない

 読者の皆様に求めたのは、次のような質問であった。

1. 日本をどんな国にしたいですか(つまりビジョン)、
2. そのために何にまず重点を置くことがいいと思いますか(つまり政策の優先順位)、
3. そして何をすればいいと思いますか(施策)
4. 各施策にどれ位の負担ができますか(税負担)
5. 何から打破すべきと思いますか(改革の工程)

 読者に「ウィッシュリスト」という言葉自体になじみがないのは仕方がない。これまで日本ではこのような、選挙区を超えて自由回答で意思を発する機会があまりなかったからである。

 選挙区で各候補者に寄せられる意見が「住民の要望」として認識され、国政に反映される例は多いだろう。しかし、1メディアの、1執筆者の提案では珍しいことであったと思う。

 提案の理由は、政府と国民とを結ぶチャネルがない現況を考えてのことである。何が民意かを私一人が勝手に決め付けることなく、読者の皆さんから幅広い意見を集めよう、そして政府に届けよう、と考えたのである。

 この3連休前、選挙を終えてしまえば、その後は国民の意思を汲みあげるチャネルがないことが明らかになる事件があった。民主党が幹事長の批判を行った生方副幹事長を解任しそうになった一件である。

 地元に戻って声を聞け、と小沢一郎幹事長は言うが、「聞く」「顔を合わせる」だけで「(国民の声を)聞き入れる」ことはない。生方議員のように国民の声を党に向けて発言すれば解任されそうになる。

 今回は世論によって踏みとどまったようであるが、党内には、正副幹事長がしっかり話し合う機会が常設されているわけではないことが分かった。また、小沢幹事長のみならず、党の執行体制自体が国民の意思を話し合うことを許さないようにも見える。

 その傾向は、もちろん、自民党政権時代の自民党においても顕著にあった。民主党も自民党も選挙政党であり、政権政党ではなかった。

外交、防衛の論戦はどこへ行ったのか?

 国会の議場内においても同様である。端的な例が、国会の最も重要な議題であるはずの、外交と防衛の議論が一向になされないことである。

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著者プロフィール

吉田 鈴香(よしだ・すずか)
ジャーナリスト

吉田 鈴香1958年生まれ、法政大学大学院修士課程修了。スウェーデン国防軍国際センター民軍協力コース修了。広告代理店、出版社勤務を経てフリージャーナリストとして独立。1989年より国際協力の取材を始め、現在では世界の紛争地に赴くかたわら、発展途上国の開発・援助政策、コミュニケーション戦略を作成する。拓殖大学国際学部非常勤講師も務める。
主な著書に『アマチュアはイラクに入るな』(亜紀書房)、『紛争から平和構築へ』(論創社、共著)など。ウェブサイト「吉田鈴香が見る世界」も公開中。Twitterのアドレスはこちら



■編集部よりお知らせ
本コラムの著者である吉田鈴香さんが参議院選挙に立候補することになりました。 そのため新着記事の更新を停止いたします。[2010年6月14日]

■筆者より
2年弱、読者の皆様の叱咤激励に支えられながら続けてまいりましたことに厚く お礼を申し上げます。ご愛読ありがとうございました。(吉田鈴香)



このコラムについて

吉田鈴香の「世界の中のニッポン」

東ティモールから旧ユーゴスラビア、シエラレオネ、イラクまで、世界の紛争地帯をジャーナリストとして訪ねてきた著者が、国際支援の現状、ODA(政府開発援助)に望むこと、武装解除と平和交渉などを鋭くリポートする。

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