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「クレイジー」な母親との意外な会見

Opportunity Schoolで教えてみる【その20】

  • 林 壮一

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2010年4月1日(木)

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(前回「子供たちと1時間付き合うことに、どんな意味があるのだろうか」から読む)

 その日私は、2005年に行われた大相撲ラスベガス公演のプログラムを持って登校した。相撲の歴史や番付について英語で説明されているので、Opportunity Schoolの教材にもってこいだと感じたのだ。

 私が唯一相撲を生観戦したのが、同興行である。所謂「花相撲」だが、なかなか楽しいイベントだった。相撲は、高校教師時代にもトピックの一つとして選んでいる。アメリカ人にとっては、かなり興味を惹くものらしい。児童たちも喜ぶだろうという期待があった。

 ところが、教室のドアを開けると少年CとEが私の授業を受けられない事態を引き起こしていた。

罰として教室の隅に追いやられる少年C

 ハーパーが説明した。
「授業をエスケイプして、校舎の外に出たの。自宅に帰ろうとしたのか、どこか公園にでも遊びに行こうとしたのかは分からない。でも、あってはならないことよ」

 そんな訳で、AとDに対してのみ、相撲について語る授業となった。4人を相手にしたレッスンを準備していたので、拍子抜けした。

 「観たことあるかい? 相撲」
 「漫画でちょっと知っているかな」

 とA。

 「名前だけはね」

 とD。

「組織化されたのは17世紀だけれど、紀元前にも似たようなものがあったらしいよ」

 私が告げると、2人は目を丸くした。

「日本の国技なんだ。政府によって、そう定められている」

 2人は更に驚いたような顔をした。

「アメリカには、国技ってあるっけ?」

 訊ねると2人は顔を見合わせた。

「無いよね?」
「フットボール(※ここでは、アメリカンフットボールを指す)かな?」
「かもしれないわ」

 生後間もなくメキシコから渡って来て、11歳になるDだけでなく、12歳のAのルーツもメキシコにあった。

「じゃあ、メキシコには国技があるかな?」

 私が質問すると、Dが応じた。

「サッカーじゃないかしら」
「だろうね。サッカー以上に人気のあるスポーツはないよ」

 とA。

 そんな会話の後、私はプログラムを1センテンスずつ音読させた。2人共、そこそこの読書量をこなしていることが窺える快活な語り口だ。おそらく、日本の国語に当たるイングリッシュの成績は、人並み以上だろう。

「髷って何?」

 Aが手を挙げて質問した。

「ピストルみたいに見えるじゃない。相手を威嚇するためなの?」

 子供らしい発想に、私の頬は緩んだ。

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