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バフェット氏のCEO操縦法(下)

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2010年4月7日(水)

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 クラフトへの口先介入は、バフェット氏の投資先への対応としては異例中の異例だ。大抵の場合、彼は優しく親切で、求められるまでは自分の意見は披露しない。投資先の1つである米地銀M&Tバンクのロバート・ウィルマーズCEOは、バフェット氏を素晴らしい助言をくれる「プライスレスな相談相手だ」と話す。1979年に米クライスラーの救済に参加するよう当局や投資銀行から圧力をかけられた時、ウィルマー氏は相談した。その時のバフェット氏の簡潔な助言は「儲けさせてくれない奴ほど話が長い」だった。

 バフェット氏は投資銀行家を「役に立たない、利己的なおしゃべり」としか見ていない。87年の米証券大手ソロモン・ブラザーズに7億ドル出資した時はひどい目に遭った。当初は干渉しない取締役だったが、国債不正入札事件によって倒産の危機に陥ると、救済に乗り出した。ジョン・グッドフレンドCEOの解雇を巡り泥沼の戦いをするなど、倒産寸前の投資銀行を9カ月間経営したことはバフェット氏にとっては悲惨な体験だった。後にこの失敗の原因は、経営陣を誤って信じたことだったと語っている。

 こうした過去から、金融危機の最悪期にゴールドマンに50億ドルも出資した時、人々は仰天した。実はゴールドマンは、同行のバイロン・トロット氏がバークシャーがどこに投資すべきかを巡りバフェット氏に助言し、信頼を得た2002年以降、バフェット氏が唯一取引してきた金融機関だ。

 米リーマン・ブラザーズ破綻から数日後、米大手金融機関すべてが危ないのではないかと思われた時期に、ゴールドマンの代理人として、どこよりも有利な条件を持ってきたのがトロット氏だ(現在はゴールドマンを退社している)。結果、バークシャーはゴールドマンの配当利回り10%の永久優先株を50億ドルで買い、普通株を1株115ドルで購入できるワラント(新株予約権)を取得した。バフェット氏が投資したことで、同行は他の投資家からもさらに50億ドルを調達することに成功し、調達額は当初目標の倍となった。

ゴールドマンCEOを絶賛

 その後バフェット氏は、この投資を守るべく私財を投じて政府の金融機関救済策を援護した。ゴールドマンが社員への賞与に数十億ドルを確保していたことで国民の怒りを買った時には、同行が立ち上げた5億ドルの中小企業支援プログラムにも協力した。

 この1月にはブルームバーグ・ニュースにも出演し、ゴールドマンのロイド・ブランクファインCEOについて「ゴールドマンで彼以上に仕事をできる者はいないだろう。彼の経営手腕を全面的に信頼している」と絶賛した。

 バフェット氏は高収益な事業運営に並外れた手腕を発揮する経営者を愛でる。ウェルズ・ファーゴのコバセビッチ元会長はお気に入りの1人だが、同氏はバフェット氏を「最も干渉しない投資家」と呼ぶ。2人が話をしたのは10年で20回程度だという。

 一方、ナビスコ再生に成功したキルツ氏との出会いは2001年。同氏についてバフェット氏は当時、米経済誌フォーチュンに、「ビジネスについて誰よりも話が通じた」と語っている。その年、バークシャーが株式の9%を握るジレットの再生を託されたキルツ氏は、バフェット氏と仕事をしてみたいとの思いも手伝い、引退生活から復帰した。ジレットは当時、数十億ドルという過剰に高い価格で米電池メーカー、デュラセルを買収したことで苦しんでいたうえ、年 15~20%という非現実的な利益成長率を株主に約束、そのために押し込み販売をしていた。

 キルツ氏は収益予想の発表を廃止し、数千人規模の人員削減と工場閉鎖、債務返済を断行し、経営資源を新製品開発と宣伝にシフトした。そんな状況だったが、バフェット氏を煩わさないよう努めたという。「いつでも相談できるからと安易に頼ってはいけないと思った」のだ。バフェット氏が役員会で口を開くことは希だったが、発言すると「影響力は大きく、その重みと明瞭さは今もよく覚えている」と言う。

 キルツ氏が取締役の給与の増額を提案した際には、2人の取締役が反対したが、バフェット氏の「ではお言葉に甘えよう」の一言で、反対した2人の顔を潰さずに議論を終結させたという。ジレットが復活すると、バフェット氏は「適格な人物が経営していれば、私は必要ない」と言って、取締役を辞任した。キルツ氏はこれを「究極の称賛」と捉えている。

ムーディーズには不干渉貫く

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスほどバフェット氏を必要としている企業はない。同社を含め格付け会社は、住宅ローン担保証券の信用格付けを吊り上げたとして、金融危機の元凶だと非難されている。

 2009年3月時点でバークシャーはムーディーズの株を20%強保有していた。元格付けアナリストらは、バフェット氏がなぜ同社取締役会で格付け基準の強化を要求したり、意見をはっきり言ったりしなかったのか疑問に思っている。確かに、クラフトのキャドバリー買収に意見を言うなら、国際金融システムを危険にさらした格付けの不備を糾弾すべきだった。

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