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軍事作戦を仕切る“素人”CIA

「無人機によるアルカイダ攻撃に本当に効果があるのか」の声

2010年4月6日(火)

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「リベンジ」を果たしたCIA

 2010年1月4日の朝8時30分。ラングレーの米中央情報局(CIA)本部で開かれたCIA幹部による定例会議は、1分間の黙祷で始められた。5日前の12月30日に、アフガニスタン東部のホースト州にあるCIA基地で、アルカイダのテロリストが自爆テロを成功させ、7名のCIA要員が殺害されるという大惨事が起きていた。重々しい空気の中、会議の口火を切ったのはレオン・パネッタCIA長官だった。

 「われわれは戦争の最中にいる。躊躇している余裕などない。われわれは正しいことをやっているのだ。われわれが諸君に望むのは、この正しいことをさらに激しく攻撃的にやって欲しいということだ。この糞ったれ連中を叩きのめすのだ(beat these sons of bitches)」

 パネッタ長官は、1960年代にほんのわずかの期間、軍の情報将校を務めた以外、インテリジェンスの世界での経験はないに等しく、オバマ大統領が彼を19代目のCIA長官に任命したときには、彼の能力を疑問視する声が強かった。しかも議員時代には、CIAの尋問のテクニックを批判する議会の急先鋒だったことから、「CIAの工作部門とはうまくやっていけないのではないか」、と思われていた。

 しかし、就任以来13カ月間、パネッタ長官は、パキスタン国内に潜伏しているアルカイダやタリバンに対し、彼の前任者をはるかにしのぐ攻撃性と冷酷さで暗殺作戦を命じ、工作活動をバックアップした。

 「合衆国大統領はわれわれに対して『アルカイダとその武装同盟者を崩壊させ(disrupt)、組織を解体させ(dismantle)、打倒せよ(defeat)』というミッションを与えた。われわれは文字通り作戦を倍増させ、その結果アルカイダに対してすさまじい圧力を与えているのだ」。

 3月17日、パネッタ長官は米『ワシントン・ポスト』紙のインタビューに答えてこのように述べ、12月末にアルカイダの自爆テロを受けてから3か月間、CIAがテロの首謀者であるアルカイダと、その同盟者である「パキスタンのタリバン運動(TTP)」やアフガニスタンの軍閥ジャラルディン・ハッカーニ・ネットワークに対する攻撃を一段とエスカレートさせたと述べた。そしてその結果、12月のCIAに対するテロの首謀者を3月8日に殺害し、「パキスタンのタリバンやアルカイダの指揮系統に壊滅的な打撃を与えた」という「新事実」を明らかにし、「復讐を成し遂げた」ことを高らかに宣言した。

 「3月8日に、ミランシャーという場所で、有力なアルカイダ指導者を殺害した。CIAの攻撃的な作戦の結果、今やパキスタンの部族地域に隠れているオサマ・ビン・ラディンやアルカイダの幹部たちは、以前にもまして深く身を隠すしかなくなっており、洗練されたテロ攻撃を計画できるような状況ではなくなった」

 パネッタ長官はこのように得意げに語ったが、背景説明を行った別のCIA高官によれば、CIAはこの日、パキスタン北西部・北ワリジスタン地区北部にあるアフガニスタンとの国境に近い町ミランシャーで、アルカイダの爆弾製造施設と考えられている建物に対して無人機によるミサイル攻撃を行ない、その建物にいたアルカイダのメンバー約15名を殺害した。その中には“フセイン・アル・イエメニ”というアルカイダ指導部の若きホープも含まれていたという。パネッタ長官も、「アル・イエメニはアルカイダのトップ20の一人であり、ホースト州での自爆テロ攻撃の計画に関わった一人だとわれわれは考えている」とインタビューで述べている。

 CIAによると、アル・イエメニは昨年12月のCIAに対する攻撃を計画した小規模のアルカイダ幹部委員会のメンバーの一人で、タリバンや外国人アルカイダ構成員の訓練を担当していた重要人物だという。アル・イエメニのアルカイダ内部での地位やホースト攻撃での役割を考えると、彼を抹殺できたことは「極めて重要だ」とCIAは強調する。

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「軍事作戦を仕切る“素人”CIA」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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