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平静を装いながらも悪化の一途。オバマ政権VSアフガン政府

静かに始まった「カンダハル作戦」

2010年5月10日(月)

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カンダハル作戦は「天下分け目の決戦」

 オバマ政権とカルザイ大統領との関係悪化が止まらない。

 「西側がこれ以上圧力をかけるのであれば、タリバンに加わるしかない」

 正気とは思えない発言をカルザイ大統領が連発してホワイトハウスの不興を買ってから1カ月。米・アフガン両政府は、表面的には平静を装ってはいるものの、相互不信の溝はますます深くなっているようだ。

 オバマ政権は、発足当初からカルザイ大統領とは距離を置き、昨年夏の大統領選挙でも、カルザイ大統領の対立候補であるアブドラ元外相の当選を密かに望んでいたが、ここにきて決定的に関係を悪化させた背景には、この夏にも本格化すると見られているカンダハルへの軍事作戦がある。

 アフガン南部最大の都市カンダハル。

 タリバン運動発祥の地であり、いまだにタリバンの影響力がもっとも強いと言われるこの人口50万人の都市に、米軍は夏までに大攻勢をかける予定である。このカンダハルをめぐる戦闘は、8年半も続いているアフガン戦争の天下分け目の決戦になると見られている。

 「オバマの戦争」の行方を左右するこの重要な戦闘を前にして、米・アフガン政府間に亀裂が入っているのは、このカンダハルがタリバンにとっての拠点であるだけでなく、実はカルザイ大統領にとっても、その権力を維持するために不可欠な利権が集中している場所だからである。

 現在、オバマ政権内でもっとも大きな問題となっているのは、カンダハルの「カルザイ利権」の中心にいる同大統領の弟アフメド・ワリ・カルザイの存在である。

「キング・オブ・カンダハル」と呼ばれる男

 「マクリスタル駐アフガニスタン米軍司令官が計画しているカンダハル作戦は、カルザイ大統領の弟アフメド・ワリ・カルザイのせいで失敗に終わる」

 『ワシントン・ポスト』がこう報じたように、米軍によるカンダハル攻撃が近づくにつれて、ワリ・カルザイの存在に欧米メディアの注目が集まっている。ハミド・カルザイ現大統領の腹違いの弟であるワリ・カルザイは、現在カンダハル州の州議会議長を務めており、長年この州のパワーブローカーとして君臨し、一部では「キング・オブ・カンダハル」とまで呼ばれている。

 米『タイム』誌は、「ワリ・カルザイが土地をめぐる紛争を仲介し、誰が開発利権を獲得するかを決定し、誰が刑務所に入るべきか、どの部族が人道援助を受けることができるかを決めている」と書いており、カンダハルではワリ・カルザイの了承なしには何一つ物事が進まない様子を描いている。

 ワリ・カルザイとその取り巻きは、麻薬取引などで得た不法な資金を使ってカンダハル州政府をコントロールし、その腐敗の元凶になっていると考えられている。このため、政府に反旗を翻して武装闘争を展開しているタリバンの方が市民の人気を集めているという事情がある。単純化すると、「腐敗した政府」対「反乱するタリバン」という対立の構図があり、後者のタリバンの方がカンダハル市民には人気があるというわけである。そこでこの「腐敗した政府」に手をつけずにタリバンだけを「反乱勢力」として掃討しても、市民の支持のある安定した政権はできないというのが現実である。

 英『ファイナンシャル・タイムズ』紙は、この状況をとらえて「カルザイ大統領の弟は、もっとも緊急性を要する米外交政策のディレンマを体現する人物である」と表現し、『ワシントン・ポスト』紙は、「ワリ・カルザイは米軍にとって巨大な挑戦だ。このカンダハルへの攻勢作戦は、この都市をタリバンの支配から救う作戦なのか、それともワリ・カルザイの支配から救う作戦なのか、またその二つを同時に行わなければならないのか、という大きな問題をはらんでいる」と伝えていた。

カルザイ弟を支えたCIA

 もっともワリ・カルザイだけを悪者扱いするのはフェアではないだろう。2001年のアフガン戦争以降、彼がカンダハルで「王国」を築けた背景には、アメリカの暗黙の了解、いやそれ以上の後押しがあったからだと言われている。

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「平静を装いながらも悪化の一途。オバマ政権VSアフガン政府」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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