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枯渇に瀕する華北平原の地下水

長年の汲み上げ過剰で地下水位が急低下

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2010年5月7日(金)

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打井

経済観察報記者 陳勇

4月28日の午後は風が強く、太陽が燦々と照りつけていた。李成軍は門前のアオギリの根本にあぐらをかいて座り、煙草をふかしながら、物思いにふけるような目で畑の方を眺めていた。

 この時彼は、井戸をもう1本掘るべきかどうか、心の中で迷っていた。

 「前に掘った井戸は涸れかかっていて、畑に水をやれない。だが、新しい井戸を掘るには数万元かかる」

 そう打ち明ける李成軍は、河北省ケイ台市柏郷県寨里西村の村民である。彼の話によれば、村では地下水の水位がここ数年急速に下がっており、井戸が深くなる一方だという。齢50過ぎの李成軍は、10ムー(約66.7アール)余りの畑で小麦とトウモロコシを輪作している。1年間の現金収入は6000~7000元(約8万1000円~9万5000円)ほど。井戸掘りにかかる費用は大変な負担だ。

2000人の村に1000本の井戸

 李成軍は、地下水位の急低下に悩む華北平原*の幾多の農民の1人に過ぎない。華北東部の京津冀(北京市、天津市、河北省)一帯は、世界で最も地下水位の低下がひどい地域の1つなのである。

*華北地方の黄河流域に広がる大平野。中国有数の穀倉地帯だが、降水量が少なく、農業、工業、生活用水の多くを地下水に頼っている。

 政府の公式発表によれば、華北地方では地下水の汲み上げ過剰が年間1200億立方メートルに達する。河北省水利庁の調査では、同省内には地下水位の低下が著しい地区が2009年時点で20あり、その総面積は4万平方キロメートルに及ぶ。

 中でも柏郷県の状況は深刻だ。李成軍が住む寨里西村の人口は2000人弱だが、村内には1000本近い井戸があり、平均2人に1本という多さである。

 結局、李成軍は隣近所の6世帯と共同で井戸を掘り、費用を分担することに決めた。だが、彼らをいかに説得して資金を集めるかが、目下最大の頭痛の種になっている。

 説得に何度か失敗した挙げ句、李成軍は村の長老である村長の高玉柱に仲立ちを頼んだ。高玉柱によれば、畑の面積が農家ごとに違うため、意見をまとめるのはとても難しいという。畑が狭い農家は(井戸を掘らずに)他から水を買った方がいいと考え、畑が広い農家は新たに井戸を掘る方が割に合うと考えるからだ。

 「前回は400メートル掘って4万元(約54万円)もかかった。今度は500~600メートル掘らなければならないかもしれない。掘った後に20~30年間使えるならともかく、最近は数年で涸れてしまうので、また掘らなければならない。そんなお金はとても出せないさ」。村民の1人で、畑が3ムー(約20アール)しかない馬三は不満を漏らす。

 李成軍の土地にある井戸は深さ400メートルで、以前は30ムー(約2ヘクタール)の畑を灌漑できる水量があった。ところが、掘って10年も経たないうちに水量が減り始めた。

 「4万元もかけて掘ったのに、もうすぐただの洞穴になってしまう」。李成軍は悲痛な表情でため息をつく。

 一方、井戸掘りを生業とする専門業者にとって、地下水位の急低下はまたとない商機になっている。

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