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豚肉なしで語れない中国「料理と経済」

飼育数約5億頭は世界の半数、ほぼ全量を自国で消費する

2010年5月21日(金)

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 “中国菜(中華料理)”の主役と言えば「豚肉」と言って過言ではない。中国で食べる豚肉料理を思いつくままに並べてみると、“紅焼肉(豚角煮)”、“東坡肉(トンポーロウ)”、“糖醋肉(酢豚)”、“梅菜扣肉(豚肉の梅菜蒸し)”。やたらと脂身たっぷりの豚肉料理の名前ばかりが並び、食べたら太りそうとは思うものの、名前を考えただけで食べたい誘惑に駆られるのが豚肉料理である。豚肉がなければ、“魚香肉絲(細切り肉の四川炒め)”も“猪肉丸(肉団子)”といった料理も食べられないだけでなく、“中国菜”が本来の“中国菜”ではなくなってしまうだろう。

豚肉の価格が下落し続けている

 それほどに、豚肉が“中国菜”に占める比重は大きく、中国人にとって豚肉は何物にも代え難い存在である。「豚」は中国語で“猪”であり、「豚肉」は“猪肉”となる。書いて字のごとしで、原始の時代に“野猪(野生の猪)”を飼い馴したものが“猪(豚)”であるが、古代中国では「豚」を“豚”とも呼んでいたようで、その文化が日本へ伝わり、日本では「豚」が一般化し、一方の中国では“猪”に統一されて現在に至っている。ただし、古代中国で最も食べられていたのは羊肉であり、牛肉がこれに次ぎ、豚肉を食べることは少なかったらしい。中国で豚肉が大量に食べられるようになったのは明代(1368~1644年)以降であり、日本では豚肉を食べることが一般化したのは明治維新(1868年)以降であった。

 中国でその豚肉の価格が下落し続けている。豚肉の価格は2006年5月に底値に達した後に上昇に転じ、2007年6~8月に値上がりした後に若干の下落を経て年末から2008年の年初にかけて大幅に値上がりした。その後価格は安定で推移したが、2008年の年末から2009年6月頃までは急激な値下がりを示した。豚肉価格はその後上昇に転じたが、9月から再度下落に転じ、11月に反発して2010年1月初旬には頂点を極めた。しかし、2010年1月中旬からは下落に転じ、既に3カ月間下落を続けて今日に至っている。

インフレ懸念を抑制する重要な作用を果たす

 2010年4月20日付の米紙「ウオール・ストリート・ジャーナル」は、「中国の豚肉価格の重要な役割」という記事を掲載した。記事の概要は以下の通りである:

【1】 中国では不動産価格が天上知らずの状態で上昇し続けているのに、重要な必需消費品である豚肉の価格は既に14週間連続で下落している。豚肉価格は既に過去4年間の最低を記録して野菜よりも安くなり、4月第1週には「生きた豚」の平均価格はキロ当たり9.43元(約127円)まで落ち込んだ。
【2】 中国で飼育されている豚の総数は世界一の約5億頭であり、世界第2位の米国の飼育数6500万頭を遥かに凌いでいる。中国における豚の飼総数は、国別飼育数ランキングの米国以下43カ国の合計よりも多い。
【3】 豚肉価格の下落は供給過多によるものであるが、これは数年前に蔓延した伝染病「豚青耳病」による豚肉価格の急騰に起因している。当時豚肉価格の上昇は主要なインフレ要因となり、政府は豚肉価格の抑制策として冷凍豚肉の備蓄を提起すると同時に、養豚農家に補助金を支給して豚の飼育数の増大を図った。
【4】 この結果、豚の飼育数は過剰に増大したし、世界金融危機により多数の出稼ぎ農民が帰郷したことによる都市部の豚肉需要の縮小で、豚肉が過剰供給となり、豚肉価格の下落が引き起こされた。
【5】 中国では食品の消費者物価指数(CPI)に占める比重は3分の1であり、豚肉価格の下落が景気回復につれて高まりつつあるインフレ懸念を抑制する重要な作用を果たしている。

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「豚肉なしで語れない中国「料理と経済」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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