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イランへの経済制裁、世界はどう動く?

2010年5月28日(金)

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ブラジル、トルコ、イランが合意した低濃縮ウラン交換計画

 イランの核開発問題をめぐる米国とイランの外交戦がますます激しさを増している。

 5月17日、テヘランを訪問中のブラジルのルラ大統領とトルコのエルドガン首相が、イラン政府との間で、イランの低濃縮ウランを国外搬出する計画で合意に達したと発表。イランが保有する低濃縮ウランの1200キログラムを隣国トルコに搬出して国際原子力機関(IAEA)の管理下に置き、フランス、ロシアや米国などが合意した場合に、20%に濃縮・加工された核燃料棒120キログラムがイランに引き渡されるという内容である。

 ブラジルとトルコは過去数カ月間、イラン核開発問題の外交的解決に向け、密かに調整・仲介外交を続け、今回の合意にこぎ着けたことについて、「外交的勝利だ」「これで対イラン経済制裁は必要なくなった」と述べて、その成果を強調した。

 今回、ブラジル、トルコとイランが合意した低濃縮ウラン交換計画は、昨年10月に米国を中心とする国連安全保障理事会常任理事国5カ国+ドイツがイランに提案し、一時イランが合意したものの、その後反故にした計画と酷似している。

 イランは1967年以来、テヘランにある研究炉でがん治療などに使われる医療用アイソトープを製造している。この研究炉はもともと米国の技術で製造されたものであり、それ以来数十年間にわたりIAEAの監視の下で操業している。この研究炉では20%の低濃縮ウランが使用されており、現在イランが使用しているのは、90年代前半にアルゼンチン政府によって提供されたものだが、その在庫が尽きてしまうため、イラン政府は昨年IAEAに対して、新たなウラン燃料の供給を求めていた。

 これに対してオバマ政権は、第三国から20%の濃縮ウランをイランに供給する代わりに、イラン自身が国連安保理の度重なる決議に違反して、ナタンズにあるウラン濃縮施設で過去数年間にわたり蓄積してきた3.5%の低濃縮ウランを国外に輸出して20%まで加工してはどうか、と考えた。昨年10月の時点で、イランは3.5%の低濃縮ウランを1500キログラム程度蓄積したと考えられていた。

 イランが国内に蓄積している低濃縮(3.5%)ウランの大半にあたる1200キログラムをロシアに輸出して濃縮率を20%に高め、それをさらにフランスに送って燃料棒に加工してイランに戻し、テヘランの研究炉で使用する、というのが昨年10月に米国、ロシア、フランスなどが「IAEA提案」としてイランにオファーしたものだった。

 これに対してイランは、自国が苦労して蓄積してきた低濃縮ウランの大半を国外に搬出することに強硬に反対した。もし米国やロシアが約束を破ったとしたら、イランは苦労して貯めた低濃縮ウランを取り上げられることになってしまう。だからイランの差し出す3.5%の低濃縮ウランと第三国が供給する20%の濃縮ウランを、イラン国内で交換すべきだと主張して譲らなかったのである。

 これに対して、イランと関係の良好なブラジルとトルコが仲介の労をとり、イランが信頼を寄せるトルコに低濃縮ウランを搬出することに合意させた、というのが今回の三者合意の画期的な点であった。昨年10月の提案をベースに、イランと西側主要国との不信感のギャップを埋めるべく、トルコがイランの低濃縮ウランの保証人になるという提案であった。

対イラン経済制裁を発表したオバマ政権

 ところがこれに対して米国は、翌5月18日に、イランに新たな経済制裁を課すための国連安保理決議案の草案にロシアと中国が合意したと発表し、あくまで追加の国連制裁をイランに課す道を進める方針を打ち出した。

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「イランへの経済制裁、世界はどう動く?」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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