「坂田亮太郎のチャイナ★スナップ」

杭州の「ベンツ比率」は東京より高い

日中ネット通販、相互接続の衝撃[3]

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2010年5月27日(木)

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 ヤフーとタオバオ(淘宝)と言う日本と中国を代表するネット通販サイトが6月より相互利用できるようになる。これ自体は消費者に大きなメリットがある。ソフトバンクの孫正義社長が語るように商品の選択肢が劇的に増え、しかも価格が大幅に下がるからだ。

 記者の興味はむしろネット通販業者や日本の小売業界に与える影響だ。日本の業者が中国市場に進出する障壁が低くなると同時に、中国の業者が日本市場に参入しやすくなる。安い中国製品が大量に入り込むことで価格破壊が起きて、日本のデフレがさらに進むかもしれない。前々回の記事の読者コメント欄に「本当に焼け野原しか残らなくなるのではないか心配です」とあるが、記者の問題意識もそこにある。

 そこで中国浙江省の杭州にあるタオバオのオフィスを訪れた日本の通販事業者3社に、今回の提携がもたらすメリットとデメリットを尋ねた。

(聞き手は坂田 亮太郎=日経BP社北京支局)

[1]=前々回から読む
[2]=前回から読む

提携は日本にとって“諸刃の剣”
――三原利治・キャサリンコテージ取締役

 ―― 中国への進出を決めた経緯を教えて下さい。

キャサリンコテージの概要
自社でデザインした子供用のフォーマルドレスやタキシードのほか、フォーマルシューズやアクセサリーなどを扱う。生産は米国の協力工場などに依託しており、日本に輸入してネットで通信販売している。女児用ドレスの価格は数千円程度。本社は千葉県市川市
画像をクリックするとサイトにジャンプします

 三原 今から10年くらい前でしょうか、中国で市場参入の可能性を探ったことがあるんです。当時は商習慣があまりに異なるのと、中国で人を雇って管理することが思いのほか難しいと分かりまして、その時は時期尚早と判断しました。中小企業が大きな投資をしたとしても、回収するのはかなり難しいと思ったからです。

 仮に中国で製造した商品を中国で売るならば、まだメリットがあるかもしれません。ただ、日本で生産した製品を中国に持って来て売るのではコストが合わない。私どものように米国で生産した商品をいったん日本に輸入し、再度中国に輸出するのは2度関税を支払うことになりますから、これでは販売価格が高くなりすぎます。

 ところが10年経ったらまったく状況が変わりました。中国のインターネットの利用者は4億人を超え、そのうちの3割くらいの人がネットショッピングをした経験がある。ネット通販市場は現時点でも日本より中国の方が大きいくらいですから、あと5年もしたら市場が倍増する可能性だってある。先進国の例に習えば、ネットの普及が進むに連れてネット通販の利用率が上がるからです。

そんなことができるのかと、正直思った

 先日、ヤフーの担当者さんがうちの会社にやって来まして、中国のタオバオとヤフーショッピングを相互利用できるようにすると説明されました。

 最初聞いた時にはそんなことができるのかと、正直思いました。だってわれわれのような通販業者には追加の負担がほとんどかからないで、それでいて中国のお客さんにも商品が売れるようになると言うのです。

 コストを考えると、日本から中国に商品を輸出する際にかかる経費を誰がどのように負担するのかが、今ひとつ、はっきりしないのです。

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著者プロフィール
坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経BP社北京支局長。入社してから6年間はバイオテクノロジーの専門誌「日経バイオテク」で記者として修行、2004年に「日経ビジネス」に異動、以来、主に製造業を中心に取材活動を続けた。2009年から北京支局に赴任し現在に至る。趣味は上手とは言い難いがバドミントン。あと酒税の安い中国はビール好きには天国です。


このコラムについて

坂田亮太郎のチャイナ★スナップ

2009年に北京に赴任したばかりの中国“新米”記者が中国を駆けずり回り、見て、聞いて、感じたことをスナップ写真と共にコラムとして掲載していきます。1本の記事は「点」に過ぎないかもしれませんが、回数を重ねていくことで中国の今の「実像」を日本の読者に伝えられたら幸いです。

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