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アフリカ経済に見る、よくある2つの“誤解”

ディアスポラによる送金も消費を支える

  • 望月 克哉

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2010年6月3日(木)

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 BOP(ベース[ボトム]・オブ・ピラミッド)の市場として注目を集めるアフリカ。欧米をはじめとする多くの企業が市場開拓に乗り出している。今の所得構造や消費行動がどのような段階にあるのか。

 過去にナイジェリア国際問題研究所客員研究員として活動するなど、ながらくアフリカ地域を調査してきたアジア経済研究所の望月克哉氏に、アフリカ経済の情勢をまとめてもらった。

 昨今のアフリカ経済とそこにおけるビジネスを考える時、どこに着目すべきでしょうか。アフリカ諸国の中で注目を浴びているのはもっぱら資源国ですが、資源開発は“飛び地”的な性格の産業ですから、雇用所得以外に人々の家計に資する部分は限られています。とは言え、資源輸出による外貨稼得は商品輸入ひいては国内流通を活発化させますから、カネとモノの流れによって人々の経済活動が刺激されることは間違いありません。

 2000年代に入ってアフリカ諸国でも経済の好循環が見られるものの、その実態をどう見るべきか。筆者がこれまで2度駐在した産油国ナイジェリアの事情にふれながら、アフリカ経済の“相場観”といったものを論じてみたいと思います。

成長のカギは農業生産

 まず、アフリカ経済の見方として、経済成長の要因についての思い込みというか、誤解があるようです。資源国のパフォーマンスが際立っているので、資源開発など外貨稼得部門の成長を当該国のそれと同一視しがちですが、実際のところは基幹部門である農業の動向が経済成長を大きく左右しています。

 農業部門、とりわけ食糧生産部門のパフォーマンスは、人々の消費行動とも大きく関わっていますし、食糧自給が人々の生活の基本であるアフリカ社会では、生産不足により主食作物などの購入が必要になれば、たちまち家計は逼迫してしまいます。国家財政も同様で、限られた外貨が食糧輸入に回されれば、財政資金そのものに不足をきたすことになります。

 近年、旱魃の頻度が高くなってきた南部アフリカ諸国(ザンビアやモザンビークなど)では、主食であるメイズの生産がふるわず、これを輸入や援助に頼る年が少なくありません。家計レベルでも同様なことが生じて、穀物を購入せざるを得なくなれば、可処分所得の限られた人々の消費は低調になってしまいます。

 これとは逆のことが起こっているのが資源国で、ここ数年のナイジェリアのように農業生産が堅調に推移していれば、石油価格高騰がもたらした「輸入ブーム」の中で人々の消費はいよいよ活発になり、経済成長をさらに押し上げる効果があるわけです。同国が、この数年で低所得国を脱して新興経済とも目されるようになったのは、国際石油価格の高止まりもさることながら、安定した農業生産こそがカギであったと言えるでしょう。

中間層は幻想かもしれない

 もう1つの思い込みないし誤解は、中間層に関わるものです。誤解を恐れずに言うと、アフリカ諸国には中間層が存在しないと考えたほうがよいと思います。

 中間層の捉え方にもよりますが、例えば最近の中国やインドなど新興経済をめぐって議論されているような所得水準、年3000ドルといった階層を想定するのであれば、それはアフリカにおいて今後出現するものと見るべきでしょう。南アフリカ共和国のように、企業セクターが活発で、給与所得者として一定の所得水準にある人々が多い国もありますが、それは例外と言えます。

 かつてアフリカ諸国には国営・公営企業があまた存在し、それら企業の従業員が、公務員とともに安定した給与を享受していた頃、中間層は確かに存在していました。しかし1980年代以降の経済構造調整の中で政府部門がドラスティックに整理され、それとともに中間層も没落してゆきました。経済自由化の下では所得格差が拡大して、ひと握りの富裕層が大いに富む一方、大多数は貧困層として滞留しているというのが一般的な図式になります。

 ナイジェリアはその典型でした。1986年発動の構造調整プログラム(SAP)の下での緊縮政策実施により、財政引き締めが徹底され、政府部門の人員も削減されました。安定した給与体系と様々な手当てが保証されてきた公務員や政府系企業の職員がポストを失い、職員宿舎を追われて困窮化してゆく様子は、まさに中間層の没落と呼ぶにふさわしいものでした。

 アフリカ諸国が新興市場としての特徴を有していることにも注目すべきかもしれません。このアフリカ諸国を新興市場と捉える視点は、そこでのビジネスを考えるうえでも有効なものと言えるからです。

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