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サムスンのオーナーは10度豹変す

第1回:キム・ヨナ選手と浅田真央選手にみる日韓企業戦略

2010年6月1日(火)

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 昨今、韓国経済が元気なことから、サムスン電子、LG電子、現代自動車、ポスコなど韓国企業への注目が高まっている。日本では、にわかに「韓国企業の強さの秘密」「サムスンに追いつけ」「韓国から学ぼう」などの特集記事や社説などをよく目にするようになった。

 だが、ちょっと待ってほしい。

 例えば、サムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長は、独創的な経営哲学に基づき、常に大胆な経営改革を断行し続けてきた。象徴的な事例としては、1993年の「妻と子供以外はすべて変えろ」と号令を下した大改革。また、2007年には中国の技術的な追い上げと日本技術との格差拡大による「サンドイッチ危機論」を展開し、危機管理を強調した。同時にこれまでの日米追随型のキャッチアップ経営からの脱皮を図った。

「今後10年以内にサムスンの事業は大部分がなくなる」

 最近では、「(トヨタ自動車のリコール問題などを念頭に)グローバル企業が崩壊しつつある。サムスンもいつどうなるか分からない。今後10年以内にサムスンを代表する事業や製品は大部分がなくなるだろう。ためらう時間はない」とツイッターで全社員に激を飛ばし、「再度危機論」を展開している。

サムスングループ李健熙会長の代表的な経営哲学

経営哲学 時期 内容
「第2の創業」 1987年 会長就任にあたり若さの覇気や進取の気性を土台に第2の創業を宣言。
「新経営」 1993年 妻と子供以外はすべて変えろと号令。
「天才経営」 1994年 1人の天才が10万人を食べさせるという発想から優秀な人材確保を強調
「革新経営」 1998年 骨身を削るような革新だけが競争力を高めると革新の重要性を強調。
「分かち合い経営」 2003年 企業は疎外された隣人たちを守るべきと社会貢献の重要性を指摘。
「デザイン経営」 2005年 デザインの新しい認識に基づき品格高いブランドとデザイン重視を力説。
「創造経営」 2006年 すべてのものを原点から見て新しいものを探し出す創造性を強調。
「サンドイッチ論」
と「危機論」※
2007年 危機管理を強調するとともに創造経営を再度唱え、グループを挙げて新成長エンジンの創造に取り掛かる。
またキャッチアップ経営から創造的経営への脱皮を図る。
「再度危機論」 2010年 今後10年以内にサムスンを代表する事業や製品の大部分がなくなると危機を強調。過去にも危機を強調してきたが、再び危機論を掲げた。

注:「サンドイッチ論」:日本と中国の間に挟まれ韓国経済が危機的状況になると予想

「危機論」:5年後に押し寄せる危機に対処するように警鐘を鳴らした

サムスングループ関連資料や報道より著者作成

 こうして数えてみると、李会長は1987年からの23年間だけでも、10度に渡り経営哲学を塗り替えている。まさに「君子10度豹変す」だ。サムスングループは、長期的に経営を担っているオーナー経営者だけがなせるリーダーシップにより、「巨大企業でありながら速い経営スピード」「多角化しているが高度に専門化しているビジネス・ドメイン」「オーナー経営者と専門経営者の調和」「米国型と日本型のいいとこ取り経営」という独自の強みを作り出せたと言えよう。

 このようなスピード感、また変わり身の速さに日本企業がついていけるだろうか。トップが4年や6年で交代することが多い日本の大企業にとってはかなり難しいだろう。

 さらに、最近の日本側での報道の中には、「日本企業が世界大競争時代に勝ち残る唯一の方法は、モノ作り神話を捨てて韓国企業の改革・戦略・実行力を見習い経営力を磨くこと(某ビジネススクール学長)」、「日本政府は、李大統領の政治主導の経済政策に学ぶべき(元大臣)」との提言も出ている。

 一方、韓国企業や経済から学ぶことに対する違和感や否定的意見も根強く残っている。先日、日本の有名企業の首脳陣の勉強会で韓国企業の動向について話す機会があった。あるトップは「いやいや、そうは言っても…」と言って、聞く耳を持とうとしない。特に50代~60代という年代を中心に、日本では韓国企業の躍進ぶりから目をそむけようとする人はいまだに少なくない。

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