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日立、巨大発電所受注の舞台裏

受注実績、黒人活用…、この国ならではの秘策とは

2010年6月7日(月)

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 ヨハネスブルグから北に約370キロメートル離れた広大な土地に、今年1月、巨大な柱が立てられた。南アフリカで最大級となる石炭火力発電所の建設が始まったのだ。ボイラーを受注したのは、日立製作所。この国が最後の大型発電所を建設してから、約四半世紀ぶりの大型案件である。

日立製作所が受注し、建設が始まった石炭火力発電所

 南アフリカでは2017年までに、2つの石炭火力発電所が建設される予定だ。日立は両方の発電所のボイラーを受注した。発電規模は合計で約10ギガワットとなり、受注金額は約5700億円に達した。南アの現在の発電容量は43ギガワットだから、一気に23%も増加する計算だ。

W杯期間中の停電は大丈夫か?

 この国は過去数年に渡り、電力不足に悩まされてきた。金融危機前で経済成長がピークに達していた2008年初頭には大規模な停電が発生し、金やプラチナなどの鉱山の稼働が停止した。その結果、世界のレアメタル市場に大きな混乱をもたらしたこともあった。慢性的な電力不足は、南アフリカが抱えるインフラ不足の象徴でもある。

 そのため、南アフリカでワールドカップの開催が決定された直後から、大会期間中の停電が懸念されてきた。国営電力会社エスコムで、北西地域の電力供給を担当するアルウィー・レスター氏は、「2009年は1度も停電が起きていない。ワールドカップについても、各スタジアムは独立した発電機を備えているし、電力供給自体も十分足りる」と、こうした見方を否定する。効率性の向上など企業努力を重ねてきたというのが、その理由だ。

 しかし、現実は金融危機後の景気減速による電力需要の減少に救われている面が大きい。電力の大口需要家である鉱山会社は昨年、世界的な需要激減で生産量を大幅に削減した。エスコム側も、鉱山会社への電力供給を10%カットする政策を続けてきた。

 だが、世界的に景気回復が進み、鉱山会社の生産量が回復すれば、再び電力不足に直面するのは確実と見られている。ある鉱山会社の経営者は、「電力供給の10%カットは、生産量でキャップ(制限)をはめられているようなものだ」と懸念する。

「欧州の裏庭」を攻略した2つの戦略

 日立が受注したのは、こうした深刻な電力不足を解消するための国家プロジェクトだ。

 民主化後、南アフリカ政府は電力市場開放のため、エスコムによる独占状況を牽制し、新たな発電所建設を長らく許可してこなかった。しかし、電力不足は深刻さを極め、ついに巨大発電所建設プロジェクトが動き出したわけだ。

 なぜ、日立が日本から1万3000キロメートルも離れた遠い南アフリカで、この国の将来を左右するプロジェクトを受注できたのか。背景には、知られざる日立の強かな戦略があった。日立が苦手とされてきた海外企業の買収を成功させたことと、黒人の経済参加を促すための国家政策への緻密な対応である。

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「日立、巨大発電所受注の舞台裏」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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