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花嫁の迎えはBMW740でないとダメ

花婿手配のアウディじゃメンツが立たないと結婚をやめた花嫁

2010年6月11日(金)

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 中国では結婚式の当日に、花婿が車の隊列を仕立てて花嫁をその実家に迎えに行く。花婿は花嫁の実家に着くと花嫁の両親に娘を娶ることの承諾を得てから、花嫁と両親およびその親族を迎えの車に分乗させ、改めて車列を連ねて披露宴の会場となるホテルやレストランへ向かうのである。これを中国語で“迎親(花嫁を迎える)”と言い、結婚式当日の最初の儀式である。

 2010年6月1日付の浙江省の新聞「現代金報」が、あるネット掲示板に書き込まれた“迎親”に関する興味深い事件を報じた。同紙が事件の発生を検証したか否かは定かではないが、同記事は多数のネットサイトに転載されて反響を呼び、全国的に大きな話題となった。

高級車「アウディ」を苦心の末に8台借り受けた

 事件が発生した場所は浙江省の慈渓市。慈渓市は上海市の南方、杭州湾を挟んだ対岸に位置し、紹興酒で名高い紹興市と古くからの貿易港として知られる寧波市の中間にある。2008年5月に杭州湾を跨ぐ“杭州湾跨海大橋”(慈渓市と対岸の嘉興市とを結び、全長36キロメートル)が開通したことで、上海市までの距離が大きく短縮され、慈渓市は目覚ましい発展を遂げつつある。慈渓市の人口は約100万人、2009年の都市住民1人当たりの平均可処分所得は2万8311元(約38万2000円)で、上海市の2万8838元(約39万円)と遜色のない水準にある。

 さて、その事件は5月30日に慈渓市で、掲示板に書き込みを行ったネットユーザーの隣家で起ったのだった。書き込まれた内容に筆者の経験と想像を加えて事件を再現すると次のようになる:

 5月30日は隣家の娘が嫁ぐ日で、花嫁となる娘にとって人生最良の日となるはずであった。娘は朝早くから美容院に出かけて入念に化粧をし、ウエディングドレスに着替えて自宅に戻った。娘は花婿が車列を連ねて自宅に迎えにくるのを今や遅しと待ち構えていた。

 一方の花婿はこの日のために、中国では公用車に採用されている高級車「アウディ」を苦心の末にやっと8台借り受けた。5月30日の結婚式当日、花婿と花嫁が乗るウエディングカーは花とリボンで派手に飾りつけられ、残りの7台もリボンで飾られ、出発準備は整っていた。花婿は運転手たちに出発の合図を送ると、1つ深呼吸をしてからウエディングカーに乗り込み、車列を連ねて一路花嫁の家へと向かったのだった。やがて車列は花嫁の家に到着して止まった。

ドアを開けて花嫁を車に導こうとしたその時…

 ウエディングカーから花束、“紅包(ご祝儀)”、胸に付ける花飾りを手にして降り立った花婿は花嫁の家のドアをノックし、中から聞こえる“紅包拿来(ご祝儀出しな)”の声に応じてかすかに開けられたドアの隙間に“紅包”を押し込んだ。するとドアは一気に開けられ、花婿は花嫁の家に足を踏み入れた。花嫁の部屋に通された花婿は、待ち受けていた花嫁に花束を手渡すと、照れながら「お待たせ。とっても綺麗だよ」とささやいた。それから花婿は花嫁の胸に花飾りを付け、自分も同様に花飾りを胸に付け、2人揃って花嫁の両親の所へ向かった。おずおずと両親の前に進み出た花婿は、「お義父さん、お義母さん、婿はお嬢さんを連れて行きますが、必ず大事にしますのでご安心下さい」と述べ、これに対して花嫁の父親が「娘をよろしくお願いします」と応えた。そこで、花婿が花嫁の両親の胸に花飾りを付け、これで花嫁の家での儀式はすべて終了した。

 花婿が花嫁の手を取って玄関に進み、ドアを開けて花嫁を車に導こうとしたその時、門前の車列を目にした花嫁が突然ヒステリックな声で叫んだ。「どうして車が全部アウディなの。ウエディングカーまでアウディとは、いったいどういうことなの」

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「花嫁の迎えはBMW740でないとダメ」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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