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賃上げで労働争議は収まらない

「格差」を見つめ始めた労働者、法外な手当や特権がやり玉に

2010年6月17日(木)

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 日本では、他人の給料を聞くのは非常識で失礼なことだと言われている。しかし、聞かなくても、職業や年齢が分かれば、その人の給料がいくらなのか、たいてい見当がつく。

 近年、年功序列ではなく、実績などを重視する企業が増え、賃金格差が拡大する傾向を見せているが、日本の会社は本質的にはアメリカ型になれない。そのため、その格差も世間の「常識」からそれほど乖離していないはずだ。

 上場企業の役員報酬の開示が義務付けられたのを受け、株主総会前に公表する企業が増え始めている。大手銀行や化粧品会社の社長が1億円前後の報酬をもらっている報道を見て、当然、羨ましいと思った。ただ、従業員の平均年収の10倍程度というのは、サラリーマンから見れば「いつかは自分も」と希望や夢が持てる合理的な水準ではないかと思う。

厳格な「等級制」に基づく賃金システムだった

 これに対し、中国では、他人の給料を平気で聞くのはごく日常的なことである。中国人同士のみでなく、訪問先で執拗に中国人スタッフの給料を聞きだす日本の関係者も少なくない。他人の懐が気になるのは中国人も日本人も一緒だ。

 残念ながら、聞けば聞くほど分からなくなるのは、中国の給料事情である。基本給の算定基準がどうなっているのかが曖昧であるほか、さまざまな名目で手当が支給されるなど不透明かつ複雑な給与体系となっているためだ。

 計画経済時代、中国の賃金体系は極めて単純明快だった。国有企業の従業員から共産党幹部のトップまで、中央政府が厳格な「等級制」に基づく賃金システムを導入した。

 40歳以上の中国人の場合、70年代は国有企業の初任給が月に18元だった。80年代の大卒の初任給は56元である。このように、その時々の賃金水準を覚えている人も少なくないはずだ。

 安かろう悪かろうではあったが、住宅や医療などの社会福祉も政府(国有企業)が負担していたので、「高温手当」など一部の特殊手当を除いて、手当やボーナスもほとんど存在しなかった。つまり、給与といえば基本給だった。だから、あの頃の中国人の給料は分かりやすかったのである。

基本給に頼らない不思議な給与構造

 90年代前半になると、市場経済体制への移行に伴い、この賃金システムが崩壊した。政府機関や国有企業から人材を引き抜く民営や外資など非国有企業が増え始め、「賃金の市場化」が始まった。

 一方、行政や国有企業改革の一環として、「ゆりかごから墓場まで」の福祉は縮小あるいは廃止され、その代わりに、手当が支給されるようになった。しかし、政府部門や国有の大企業では、本来、基本給に対して補完的な役割であるはずの手当が基本給以上の存在になってしまった。

 中国で、民営や外資系企業を抑え、大国有企業や政府部門がもっとも人気の高い就職先となっているのは、さまざまな手当を享受する特権があるためだ。

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「賃上げで労働争議は収まらない」の著者

肖 敏捷

肖 敏捷(しょう・びんしょう)

エコノミスト

フリーのエコノミストとして原稿執筆や講演会などの活動をしている。テレビ東京の「モーニング・サテライト」のコメンテーターを担当中。2010年の日経ヴェリタス人気エコノミスト・ランキング5位。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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