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賃上げだけが労働者の望みじゃない

対等な関係や時間のゆとりも、労使の認識に溝

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2010年6月18日(金)

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后富士康時代的労資調査

経済観察報記者 汪言安

6月9日午後5時25分、合肥統一企業*の正門の前には作業服を着た男性従業員たちが車座になってしゃがみ込み、煙草を吸いながら雑談に興じていた。同社は安徽省の省都、合肥市の経済開発区にある同市最大の台湾系企業である。

*台湾最大の食品・流通企業グループである統一企業の中国子会社の1つで、即席麺と飲料を生産している。

 この時はちょうど、工場の2回目の休憩時間だった。工場の敷地内は禁煙なので、喫煙者はいったん外に出てまず煙草を吸い、それから食堂へ夕食を取りに行く。夕食後は再び生産ラインの持ち場に戻り、さらに4時間の残業が待っている。1日の労働時間は12時間におよぶ。

他社の賃上げの話題で持ちきり

 この日の休憩時間は、「富士康」「ホンダ」「賃上げ」の話題*で持ちきりだった。

*「富士康」はEMS(電子機器の受託製造サービス)世界最大手の台湾企業、鴻海精密工業の中国子会社「富士康科技」で起きた従業員の連続自殺事件を、「ホンダ」は同社の変速機工場で起きた大規模な労働争議を指す。どちらも会社側が大幅な賃上げを受け入れた。

 「数日前、江蘇省昆山市の台湾系企業の従業員がストライキをやったが、給料は上がらなかったそうだ。ストなんて役に立つのかね?」

 車座の男性の1人が、煙草の吸い殻を指ではじいて遠くに飛ばしながら、同僚たちにそう反問した。

 「全く役に立たないことはないさ。少なくとも、俺たちが賃上げを望んでいることを社長にわからせることにはなる。だいたい会社は、やむを得ない事情がない限り給料を上げることなんてないんだから」

 別の男性の1人がそう反論し、少し高ぶった口調でこう続けた。

 「この間の事だって、もし俺たちが騒がなかったら、給料を下げられていたかもしれないんだぞ」

 すると同僚たちは、はっとした表情になって顔を上げ、周囲をぐるりと見渡すと、急に立ち上がって門の中に走っていってしまった。後には1人、彼がぽつんと残された。

 「ちぇっ」。彼は舌打ちし、不満げな口調でこうつぶやいた。

 「あいつらときたら、他の会社のことは毎日話しているくせに、自分に直接関係のある事になると、まるで電気に触れたみたいに手を引っ込めてしまう」

 そう語る常新(仮名)は、合肥統一企業で働き始めて3年余りの若者である。今年4月に起きたその“事件”について、彼は(記者に)詳しく話すことをためらった。

 「あれは純粋に、(賃上げではなく)今の給与水準を維持するための行動だったんだ」

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