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貧富の格差は「危険レベル」に達したか?

世界の大国となるには、富の分配の適正化は避けて通れない

2010年7月9日(金)

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 中国国営通信社「新華社」傘下の新聞「経済参考報」は2010年5月21日付で、新華社世界問題研究センターの研究員2人(叢亜平と李長久)による長文の論文「中国における収入分配の不均衡による貧富の格差拡大」を掲載した。彼らは論文の中で、中国のジニ係数が既に慢性的暴動の危険がある「危険ライン」の0.5を超えていると述べた。

 ジニ係数とは1936年にイタリアの統計学者コッラド・ジニによって考案されたもので、主として社会における所得分配の不平等さを測る指標である。ジニ係数は0から1の範囲で示され、数値が1に近づくほど所得格差が大きいということを意味する。係数が0なら全員が同じ所得を得ていることになるし、係数が1なら1人が全所得を独占していることになる。

ジニ係数の目安は次の通りである:

0.1~0.2:ほとんど格差のない社会
0.2~0.3:格差の少なく安定した社会
0.3~0.4:格差がある社会
0.4~0.5:厳しい格差があり、社会を不安定にする要素がある
0.5~0.6:格差が限度を超え、社会的な不満が激増
0.6~0.7:社会的動乱がいつ発生してもおかしくない
0.7~ :革命が起こる、あるいは動乱状態に突入する

 そこで、0.4~0.5を「警戒ライン」、0.5以上を「危険ライン」と言うが、特に0.5以上は慢性的暴動が起こりやすいと考えられている。

 さて、当該論文は収入分配が不均衡な要因として次の4項目を挙げ、これらが中国の貧富格差を絶えず拡大させ、社会矛盾を際立ったものとさせているのだと述べている:

【1】 政府が蓄積する富の比重は増大を続け、個人の収入が占める比率は縮小している。
【2】 富がますます少数の人に集まり、一般大衆の収入は不公平に低い。
【3】 都市と農村の収入格差が絶え間なく拡大し、農民の消費は深刻に不足している。
【4】 権力資本(=権力と結びついた大手国有企業)の暴利が拡大しており、中小企業や一般大衆の利益空間は圧縮されている。

 その結果として、中国のジニ係数は現在既に0.5の危険ラインを超えているというのである。ちなみに、米国中央情報局(CIA)の “The World Factbook”によれば、中国のジニ係数は0.415(2007年データ準拠)で世界134カ国中の悪い方から51位、日本は0.381(2002年データ準拠)で74位となっている。一方、世界銀行の推計では、欧州や日本などの先進国のジニ係数が0.24~0.36の間にあるのに対して、中国の2009年のジニ係数は0.469で135カ国中36位となっている。

 中国の貧困人口は飛躍的に減少したと言われているが、世界銀行の発表によれば、収入を1日1.25ドルとする国際的貧困基準に基づく貧困人口は4.74億人で、依然とし貧困人口ではインドに次いで世界第2位に留まっている。総人口を13.35億人とすれば中国の貧困人口はなんと総人口の35.6%にも達しているのである。農村人口は7.13億人であるから貧困人口が全て農村にいるとすれば、その比率は66.5%になる。なお、国家統計局発表の「2009年国民経済・社会発展統計公報」によれば、農村貧困標準ラインは年収1196元(約175ドル)で、2009年末の農村貧困人口は3597万人となっている。年収175ドルを日収に直すとわずか48セントに過ぎないのである。

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「貧富の格差は「危険レベル」に達したか?」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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