| 登場人物: | |
| ・田島春男社長 | :インド進出を切望する情熱あふれるベンチャー社長。大阪出身。腰が低く、追い風には乗りたいタイプ。 |
| ・鈴木秀一先生 | :インド駐在歴20年を超える進出支援コンサルタント。自称“インドマスター”。 |
| ・ラジーブ先生 (法務博士) |
:常に冷静沈着、だがそれ以上にずば抜けた営業力を持つ敏腕弁護士。日本で弁護士事務所での勤務経験あり。 |
| ・ヴァルン先生 (税務博士) |
:インドで免許を持つ会計士で税務、会計のスペシャリスト。当然のことながら数字にはめっぽう強い。 |
| ・インディラ先生 (経営博士) |
:豊富な知識量もさながらに、そこから無尽蔵のアイデアを生み出す美人カリスマ・コンサルタント。日本で政府機関での勤務経験あり。 |
| ・プリヤンカ先生 (労務博士) |
:インドの数々のメーカーで人事部長を歴任した人事のスペシャリスト。彼女の一睨みで多くのインド人は震え上がる。 |
田島社長:前回はインドのアパレル市場について教えていただきまして、ありがとうございました! こうしてみるとぐんぐんと市場が伸びていきそうに思うんですけど、売れる商品を用意するのは簡単ではなさそうと思っとります。価格優位性を考えれば、輸入型では遅かれ早かれ行き詰まる…。やはりインドでの生産も視野に入れて検討しなければ、いかんと思うんですけど、中国やアセアン諸国のようにうまくいくでしょうか?
鈴木先生:今日はそのことに関して、労務の専門家であるプリヤンカ先生もお招きして議論していきたいと思います。前回は税務の話もしましたし、そろそろ実務的な部分も押さえておいた方がいいと思いまして。
プリヤンカ先生:よろしくお願いしますね。少々緊張しておりますが、お手柔らかに。
鈴木先生:さて、第1回でお話したとおり、モジュール型の生産で低廉な労働力を活用しようとする中国やアセアンのような方法だと限界があります。インドはすり合わせ型のモノ作りの素地があることから、長期的には、(1)市場戦略、(2)R&D戦略、(3)経営の現地化、つまり生産委託戦略の3つを循環させるビジネスモデルが重要になるでしょう。市場の拡大を見越した現地市場向け生産は定石です。

現にマルチ・スズキ・インディアは過去最高の売り上げを更新し続けています。その意味で、国内市場のボリュームが乏しいアセアンなどの新興国に比べれば、遥かに生産拠点を設けるリスクは少ないといえます。そのマルチ・スズキも年間10万台の四輪自動車の輸出計画を進めています。また日産自動車は2010年3月にチェンナイに新工場を立ち上げ、最終的には年間20万台の生産を目指し、うち70%は輸出される見込みです。ヒーローホンダも二輪車においては、すでに世界最大の生産工場をインドに有しています。その意味で、インドは、中国、そしてかつての日本と並んで内需と外需を両方を享受できる数少ない生産拠点となるでしょう。
また優秀な技術者が低廉なコストで活用できるインドではR&D拠点としても活用できます。IT産業や製薬産業などでは既にこうした動きは先行しています。ノ作りの分野でも、例えば2008年6月に開設された日産のR&D研究所では、IT系統の研究開発を集約していくようです。従来の新興国におけるR&Dは、単に既存の製品の のカスタマイズ業務に限定されることが多かった。しかし、日産はグローバルなR&Dにインドの頭脳を活用しようという戦略を持つようです。これに続いてスズキもアジア市場向けの新車種開発のR&D拠点をインドに設けることを発表しています。こうした動きは他の製造業にも広がっていくのではないでしょうか。
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