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好調サムスン電子、半導体事業に潜む悩み

第5回:選択と集中投資を続ける韓国企業

2010年7月27日(火)

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 サムスン電子は、設立以来初めて、四半期ベースでの営業利益が5兆ウォン(3,597億円)を突破する見通しだ。2010年4~6月の第2四半期業績(連結ベース)は、売上高が前年同期比13.8%増の37兆ウォン(2兆6,618億円)、営業利益が同87.3%増の5兆ウォン(3,597億円)と暫定的に発表している。確定値は、7月30日に発表される予定だが、昨年の世界金融危機による景気悪化、半導体業界の競争激化、閑散期の第2四半期にもかかわらず、劇的な業績を上げた。

 その要因の1つは、好況だった半導体事業が大きく貢献したためだ。米マイクロソフトの新基本ソフト「ウインドウズ7」の発売に伴うパソコン需要増や、世界的なスマートフォンブームに伴うフラッシュメモリー需要増により半導体価格が上昇した。主力半導体製品の1つであるDRAMの価格は、昨年7月には1.58ドルであったのが、2.58ドルにまで上昇している。

 しかし韓国企業はビジネスの手法が、ある面ではギャンブル的であるようにも感じられる。特に半導体事業はその傾向が強いことから、その実力は薄っぺらなもので、いつかはメッキがはがれると懐疑的に見ている人が多い。2003年以降、サムスン電子は毎年過去最高の業績を上げ続けているものの、まだ信じきれないところがある。どこかに偏った経営の構造的な問題点があるのではないかという見方が日本では根強い。

 韓国企業の強みの1つは、「選択と集中によるR&Dへの果敢な投資」だ。韓国企業は早く成果を出すよう求める企業文化があるため、長期間のR&Dと多大な開発資金を必要とする基礎技術の研究よりは、企業買収や技術購入を通じた応用技術開発にR&Dが集中している。特に大量生産技術のノウハウが蓄積されている新技術の買収により競合他社のシェア切り崩しを図っており、主な分野は半導体・LCD・携帯電話・自動車・造船である。

非メモリー分野では、米国から10年の遅れも

 例えば、サムスングループは半導体・通信・液晶分野への「選択と集中」を行っており、R&Dセンター16カ所(うち海外7カ国10カ所)、R&D人材数4万人(海外6,300人含む)、R&D年間投資額90億ドル、米国での特許保有数2,453件(米国2位)に上る。また、今年はR&Dと設備投資を合わせて過去最大の212億ドルを一挙に投じ、2位グループとの差をさらに広げようとしている。

 これに対して日本勢も黙ってはおらず、大胆な対抗策を打ち出した。DRAM半導体市場がその舞台だ。2009年の世界シェアは1位サムスン電子33.6%、2位韓国ハイニックス半導体21.6%、3位エルピーダ17.4%だったものの、日本のエルピーダが台湾の生産委託先であるDRAMメーカー4社(華邦電子、瑞晶電子、茂徳科技、力晶半導体)との「日台企業連合」を組んだ。その目的は、先端DRAM量産技術の供与や量産によるコスト競争力の向上である。これで、韓国勢を猛追しようというのだ。

半導体メーカーの売上高世界ランキング(2009年)
順位 メーカー名 本社所在地 売上高
(百万ドル)
シェア
(%)
前期比
増減率
(%)
1 インテル 米国
(カリフォルニア)
33,253 14.6 -4.5
2 サムスン電子 韓国(ソウル) 17,686 7.7 1.7
3 東芝 日本(東京) 9,604 4.2 -9.4
4 テキサス・インスツルメンツ 米国(テキサス) 9,142 4.0 -13.7
5 STマイクロエレクトロニクス スイス
(ジュネーヴ)
8,510 3.7 -17.1
6 クアルコム 米国
(カリフォルニア)
6,409 2.8 -1.0
7 ハイニックス半導体 韓国
(京畿道利川市)
6,035 2.6 0.4
8 ルネサス・テクノロジ ※ 日本(東京) 5,670 2.5 -19.9
9 アドバンスト・マイクロ・デバイセズ 米国
(カリフォルニア)
5,157 2.3 -2.7
10 インフィニオン・テクノロジーズ ドイツ
(ミュンヘン)
4,682 2.1 -43.1
  その他   122,223 53.5 -11.7
  合計   228,371 100 -10.5

※ルネサス・テクノロジは、2010年04月にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジの経営統合により「ルネサス・エレクトロニクス」と改名。

出所:米調査会社ガートナーのデータより筆者が加工作成

 サムスン電子は、メモリー半導体であるDRAM市場ではトップシェア、世界半導体市場ではシェア2位(2009年7.7%)を誇っている。絶好調と見られがちだが、先行きには不透明感も残る。

 同社が抱えている悩みは、大きくは2つだ。1つは、同社のビジネスドメインが、世界半導体市場では傍流にあたるメモリー半導体に偏っていることである。世界半導体市場(2009年2,284億ドル)は、非メモリー半導体(主に自動車や携帯電話用の半導体)が75%占めており、メモリー半導体(主にパソコン用の半導体)は25%に過ぎない。しかも、その巨大市場である非メモリー半導体の技術では、米国から10年以上遅れていると指摘されている。

 もう1つは、半導体製造装置の80%と半導体材料の60%を日本や米国からの輸入に頼っていることだ。つまり、生産にかかわる基幹装置や主要な部材は国外からの供給に依存しているわけだ。そのため、ここにきてこうした部材や装置の国産化を急いでいるところである。

 サムスン電子がさらに事業を拡大するためには、これらの課題を解決せざるを得ない。なぜなら非メモリー半導体を稼ぎ頭とする米インテルが、その行く手に立ちはだかるからだ。インテルは世界半導体市場で18年連続トップシェアを堅守しており、2009年のシェアは14.6%だった。インテルは今年第2四半期業績には3期連続の大幅増収と過去最高の粗利益率を記録し、二番底懸念に揺れる米国経済とは別次元の強さを示している。

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