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大連パイプライン爆発事故の深層

広がる海洋汚染、危機管理のずさんさも露呈

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2010年7月30日(金)

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大孤山半島危局

経済観察報記者 謝良兵

7月16日の夕刻、遼寧省大連市の経済技術開発区内にある順風里団地に住む杜東は、いつものように自宅で夕食を取っていた。すると突然、巨大な轟音が南の方角から聞こえてきた。彼は茶碗と箸を放り出し、南向きの窓に駆け寄った。すると、すぐに鼻腔を突く刺激臭がたちこめてきた。さらに十数分後、消防車のサイレンが次々に聞こえてきた。「これはおおごとだ」。杜東は心中で事態の深刻さを悟った。

 午後6時11分、事故の第一報を中国中央テレビが伝えた。杜東の自宅から5.6キロメートルのところにある大連新港の石油備蓄基地でパイプラインが爆発し、火災が発生したのだ*。約1300人が暮らす順風里団地は、爆発地点から最も近い住宅地の1つだった。事故が起きたのは、大連市の中心部から北東へ20キロメートルほど離れた大孤山半島にある化学工業団地内。ここは、大連の基幹産業の1つである石油化学産業の集積地だ。

*この事故は、タンカーから石油タンクに原油を荷下ろしする作業中に起きた。この作業では、タンカーと石油タンクをつなぐパイプラインに原油から硫黄分を取り除く脱硫剤を注入するが、荷下ろしが中断したにもかかわらず脱硫剤を注入し続けた人為的ミスにより、パイプラインの爆発を招いた。

漁民がポリバケツで原油を回収

 爆発と同時に発生した火災は、15時間後にようやく鎮火した。7月18日、遼寧省公安庁が北京の公安省に送った報告書には、「我が国において前例のない大火災だった」と記述されている。

 事故から4日後の7月20日、本紙(経済観察報)記者は事故現場への接近を試みた。この日の大連は強風を伴う大雨に見舞われていた。経済技術開発区の中心部から大連新港に近づくにつれ、耐え難い異臭を伴う空気が濃くなっていった。「このあたりには化学工場がたくさんあるが、こんなにひどい臭いは爆発事故の後からだ」と、地元のタクシードライバーは証言する。

 ふだんなら、このドライバーの上得意は大連新港に小口の輸入貨物を引き取りに来る商人たちである。しかし爆発事故の後は、流出した原油の回収と汚染除去に当たる武装警察隊員や漁民を何人も乗せたという。

 「爆発当夜、消防隊は4重の防火壁で囲んで火災の延焼を防ごうとした。しかし火の勢いが強く、あっという間に3層目まで破られてしまった」。ドライバーは、武装警察隊員から聞いたという話を臨場感たっぷりに語った。

 事故現場に近い漁村の鯰魚湾村では、地元政府の要請で村中の漁船が駆り出され、海上に流出した原油を回収している。大連近海では6月初めから8月末にかけて禁漁期であるため、漁民たちは政府の要請に応じた。回収作業に加わったある漁民によれば、早朝4時から出航し、ポリバケツやヘルメットを使った手作業で原油をさらっているという。

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