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全国で頻発する突然の地面陥没

水不足に悩む中国では地下水も危機に直面している

2010年8月6日(金)

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 2010年7月8日、9日の両日、北京大学で同大学主催の「2010年国際地下水フォーラム」が開催され、米国、英国、香港、台湾などを含む国内外の地下水および水文学(すいもんがく)<注1>の学者・専門家が参加した。同フォーラムのテーマは「世界の変化における地下水の安全」であったが、当然ながら主題は「危機に直面する中国の地下水」となり、活発な議論が戦わされた。その要点をまとめると以下の通りである:

<注1>広辞苑によれば「地球上の水の状態や変化を水の循環の立場から研究する学問」

中国の淡水資源は世界全体の5~7%に過ぎない

【1】中国の乾いた都市や農村の地下には危機が迫っている。ただし、その危機がどれほど深刻なものかを知る人はいない。中国は世界総人口の20%の人口を擁しているが、その淡水資源は世界全体の5~7%に過ぎず、これを補うために地下水資源を大量に汲み上げており、これが地下水の危機を引き起こしている。地下水を含めた水危機は中国にだけ存在するものではないが、中国は世界のどの国・地域に比べても極めて深刻な状況にある。

【2】中国政府水利部の調査によれば、中国にある660の都市のうち3分の2の都市で水資源が不足している。中国経済が絶え間なく発展すると、水資源の需要も絶え間なく増大し、2030年には中国の水資源の消費量は7500億立方メートルに達するものと予想される。この数字は全国の利用可能な水資源総量の90%を占める。

【3】田畑の灌漑用水は地下水が40%以上を占めているし、華北や西北の乾燥地域では飲料水の70%近くを地下水に頼っている。過去数十年に絶え間なく増加した水需要を満足させるため、中国の地下水汲み上げ量(以下「揚水量」)は毎年25億立方メートルの速度で増大している。地下水揚水量の増大に伴い、1974~2000年の間に華北平原の地下水位は毎年1メートルの速度で下降している。この結果として、人々が地下の淡水を得ようとすれば数百メートルの井戸を掘削しなければならなくなった。

【4】水の汚染も水危機をより一層深刻なものとしている。経済が急速な発展を遂げている西南地区や華南地区では、重金属およびその他の汚染物が地下に浸透して地下水の深刻な汚染を引き起こしている。全国の地下水の90%が程度は異なるもののなんらかの汚染を受けているが、そのうちの60%は汚染が深刻である。

【5】中国政府は2050年までに完成させる予定で長江(=揚子江)の水450億立方メートルを人工の水路とパイプラインにより乾燥した北部へ輸送する「南水北調プロジェクト」を推進している。中国政府はこの「南水北調プロジェクト」によって北部地区における地下水の過剰な汲み上げを緩和することができるとしている。

【6】さらに中国政府は、2023年以前に天津市、北京市、河北省の地下水使用量を現在の65%の水準まで削減させる計画であり、これによって地下水の水位を上昇させることができるとしている。「南水北調プロジェクト」で地表水が増加すれば、地下水の揚水量は増大しないという考え方もあるが、新たな水資源が増えれば、水使用量はそれに伴って増えるのが一般的な傾向で、水需要を抑制することは非常に難しい。

【7】人々はとかく水危機の主因を気候の変化だと考えがちだが、これは間違っている。中国水利水電科学研究所の研究グループが、河北省滄州、山東省威海、陝西省咸陽の3地区で行った調査によれば、気候の変化が地下水の枯渇に影響を及ぼしていた割合はわずか10~30%に過ぎず、最大の原因は管理の悪さであった。従い、有効な水資源管理を徹底すれば水危機を緩和することは可能である。

【8】実際上、農業の灌漑用水量は用水総量の70%を占めるので、水資源管理における改善の余地は農業が最大である。食糧の生産量を増大させるため、華北平原は二毛作が行われ、冬は小麦、夏はトウモロコシを栽培している。しかし、華北平原は冬に降水量が少なく、冬作物の灌漑は完全に地下水に依存している。中国の食糧安全を考えると、現在の状況を持続することは不可能で、中国は食糧輸入の増大を検討するべきであり、同時に冬の小麦の栽培を減らし、夏のトウモロコシの栽培を増やさねばならない。そうすることによって、地下水の減少を抑制することが可能となる。

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「全国で頻発する突然の地面陥没」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授