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中国で“隠れ借金”の懸念が高まる

地方自治体が抱える巨額の開発債務

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2010年8月6日(金)

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Dexter Roberts(Bloomberg Businessweek北京支局長、アジアニュース担当エディター)
米国時間2010年7月29日更新「 Where China Hides Its Debt

 米ノースウエスタン大学のビクター・シー助教授(政治学)は、中国のWebサイトにアクセスし、金融不安を示唆する情報を日々調べている。シー助教授は、たまたま見つけた、あまり目立たない中国政府の情報サイトで、中国の政府系金融機関と地域投資事業法人(LIC)との間で取り交わされた融資契約の発表文書を見つけた。LICは中国の地方自治体が設立した政府系特殊法人で、借り入れ規模が法律で規制されている地方自治体に代わって事業資金を調達している。公式発表では、中国全土で8000社以上のLICが設立されている。中国政府は地域開発プロジェクトへ迅速に資金を供給する手段として、ここ2年間、LICの設立を後押ししてきた。

 シー助教授は現在、LICが返済能力以上の借り入れをしているのではないかと懸念している。中国銀行業監督管理委員会(銀監会、CBRC)の劉明康(リウ・ミンカン)委員長も6月、「中国の金融部門の健全性が問われている」と懸念を表明。「地方自治体の資金調達機関」であるLICへの多額の融資は、中国の金融機関が直面している重大なリスクの1つだと指摘した。

LICへの融資残高は中国GDPの3割に相当

 LICの多くは、道路や鉄道、発電所のほか、ホテルやコンベンションセンター、オフィスビルなどを建設する目的で、巨額の資金を借り入れている。地方自治体の土地を担保に取っているLICもあるが、多くの金融機関は、地方自治体の約束だけを頼りにLICに融資している。

 シー助教授の試算によれば、2009年末時点のLICの債務残高は1兆6800億ドル(約145兆円)。これは中国のGDP(国内総生産)の34%に相当する金額だ。しかも「こうした資金の多くが、採算のとれないインフラ事業や不動産事業に投じられている」と同助教授は話す。

 欧米の金融機関は、LICが債務を返済できなくなった場合、中国の金融機関にどのような影響が及ぶかを懸念している。米銀大手シティグループ(C)のアジア太平洋経済担当アナリスト、沈明高(シェン・ミンカオ)氏は「残念ながら、再び金融危機を招きかねない状況だ」と語る。

内陸部の銀川市のケース:投資の回収は難しい

 LICがどのような事業に資金を供給していて、その健全性がどの程度なのかを把握するのは困難だ。

 シー助教授によれば、中国内陸の寧夏回族自治区の区都、銀川市のLICは、同市の建設ラッシュを資金面で支えしてきたという。銀川には、巨大なサッカースタジアム、豪華な別荘物件や高層マンションなどが新たに建設され、市の景観を彩っている。科学技術館や寧夏博物館、図書館はいずれも、数個のアメフト競技場に相当する広大な敷地面積を誇る。また、竣工間近の超高層ビルは、米ニューヨークのエンパイアステートビルさながらの建物だ。地元自治体は歳入の7割を中央政府からの補助金に依存しているにもかかわらず、こうした開発事業にかなり思い切った金額を投じている。

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