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ウィキリークスで“タダ漏れ”された「秘密資料」の読み方

2010年8月10日(火)

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 7月26日にウィキリークス(Wikileaks)が公開した7万5000点のレポートは、アフガニスタン駐留米軍の最前線の部隊が、日々のミッションの後につけている任務報告書で、部隊にとっての日誌のようなものである。ウィキリークスは米軍内部の漏洩者から9万1000点におよぶこうした秘密の報告書を受け取り、今回7万5000点を公開した。残りの1万5000点は、米軍の情報源となっているアフガン人の身元が判明してしまうなどの理由から、今回は公開が見送られた。

 報告書は、日々の任務を終えた指揮官たちが、時間をかけずに記録ができるようにシンプルなフォーマットになっており、「日時」「出来事の種類」「カテゴリー」などの各欄に入力し、事件や事故で死傷者が出た際にはその数を入力すればいいようになっている。例えば「2004年3月5日」に起きた「敵による行動(Enemy Action)」で、「攻撃(Attack)」に分類される出来事が発生し、「民間人(Civilian)」の「死者(Killed in Action)」が「1」とそれぞれの欄に入力されている。備考の欄には、「NGOの契約者1名死亡、1名が誘拐」と簡潔に記されている。

 無感情に淡々と記されているが、敵の攻撃を受けてNGO関係者が1名死亡し、1名が誘拐されるという悲惨な事件が発生していたことが分かる。

 「出来事の種類」には「対反乱作戦」「非戦闘行為」「爆破物で損害」「不審な事件」などいくつかの種類に選択されており、「カテゴリー」は「暗殺」「攻撃」「逮捕」「対麻薬」「拘束者釈放」など、より詳しくその出来事の内容が分かるように分類されている。

 データベースに収められている報告書は、こうした「出来事の種類」に応じて検索することもできれば、日時や場所から検索することもできる。いずれにしても2004年から2009年末までのレポートを含んだ膨大な量の資料であるため、一つ一つすべてのレポートを見るには相当の時間と労力、忍耐力が必要だ。

極めて貴重なインテリジェンス・レポート

 私は、欧米メディアが大々的に報じた「パキスタンとタリバンの関係」について、原文ではどのように記述されているのかに興味があったので、その観点からレポートを見ていく。はじめはランダムに見ていくが、ほとんどのレポートは、攻撃や事件の概要が淡々と記されている典型的な軍のAfter Action Reportのようなもので、それはそれで興味深いのだが、一つ一つそうした事件報告書に目を通していては時間がいくらあっても足りない。

 「会議」という「出来事の種類」に分類されている一群のレポートがあり、「会議」の中にも「開発」に関する会議について記されているものと、「セキュリティ」について記されているものがあることが分かる。「会議―セキュリティ」に分類されているのは、各県の県知事や警察署長や西側の復興支援チームなどに現地の治安状況についてインタビューをした際の議事録のような内容が多く、背景が詳細に記されている報告書が多い。

 この「会議―セキュリティ」のファイルに的を絞り、その項目に含まれる約750の報告書一つ一つに目を通してみた。以下、その中からいくつかの報告書を引用しよう。

 ▼2006年12月4日「内務省インテリジェンス部のモハマド・ナワブとのミーティング」

 「この会議の参加者は一様にアフガン政府が機能しないことに対する懸念を表明した。あらゆる政府のレベルで、すべてが政治で決められるようになってしまっており、あらゆる政府の人間―、知事であろうと、警察署長であろうと、大臣だろうと大統領だろうと、全員が外国の利益のために動いている。外国とはアメリカ、ロシア、英国、パキスタンとタリバンを含む。これが腐敗の根幹であり、国際社会がアフガン内政に干渉することで問題を悪化させている(中略)アメリカのPaktyaにおけるインテリジェンス機関は情報源と接する際に全く慎重さが足りない。アメリカは知らずにダブル・エージェントに協力している。イスラム宗教会議のメンバーであっても信頼してはいけない」

 面白いことに、翌日の報告にはこの情報源モハマド・ナワブに関して次のようなレポートも入っている。

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「ウィキリークスで“タダ漏れ”された「秘密資料」の読み方」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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