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新聞記者はすごく危険な職業

「名誉棄損」による全国指名手配は36時間後に撤回された

2010年8月20日(金)

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 2010年7月27日、浙江省麗水市逐昌県の県公安局は、週刊経済情報紙「経済観察報」の記者“仇子明”を商業上の名誉棄損により公安警察のインターネットを通じて全国に指名手配した。仇子明は遂昌県で唯一の上場企業である“浙江凱恩特殊材料股份有限公司”(株式コード:002012、略称:凱恩股份)<注1>に関する不正取引の内幕を告発する記事を「経済観察報」に2回にわたって掲載したのだった。それは2010年6月7日付の「凱恩股份の天を欺く事件」と6月21日付の「凱恩股份を再調査、隠された不正取引」という2本の記事であった。

<注1>“股份”は株式、“股份有限公司”は株式会社。

 2010年5月上旬、仇子明はある筋から凱恩股份を傘下に持つ“凱恩集団”の実質的経営者である王白浪が、もともと国有企業であった同集団を民営企業に組織変更する過程で、国有資産を詐取し、国有地を横領し、2004年7月に深セン証券市場に上場した凱恩股份の株式によるインサイダー取引で私服を肥やしたとの情報を得た。一方、麗水市遂昌県公安局は凱恩集団から「近頃インターネットやメディアを通じて凱恩集団および凱恩股份を誹謗中傷する犯罪行為を行う者がいる」との届け出を受け、5月20日にこれを事件として立件し調査を開始した。

口止め工作をしようとしたが果たせず…

 この遂昌県公安局による調査が進む中で「経済観察報」に掲載されたのが、上述の2本の記事であった。これら報道がなされた後、凱恩集団の王白浪はあるルートから取材を行って記事を書いたのは仇子明であることを知り、仇子明が在籍する上海の「経済観察報」華東ニュースセンターに対して口止め工作を行おうとしたが果たせず、遂昌県公安局に仇子明の逮捕を要請したものと思われる。これを受けて、遂昌県公安局は仇子明の記事が凱恩集団と凱恩股份の名誉を棄損したとの判断を下し、7月23日に仇子明の逮捕を決定、7月27日付でインターネットを通じて次のような全国指名手配を発令したのであった。

“被通緝人仇子明, 賞金500元, 聯系人黄井洪, 聯系電話:05788113534、057788113545”
<指名手配者:仇子明、懸賞金500元(約6750円)、連絡先:黄井洪、電話番号:05788113545、05788113545>

 この懸賞金500元付きの全国指名手配に驚いた仇子明は直ちに潜伏してその身を隠すとともに、「経済観察報」に救援を要請した。また、書いた記事が名誉棄損に当たるとして新聞記者が全国指名手配となるという前代未聞のニュースはメディアを通じて全国に報道されて大きな波紋を投げかけたのであった。それでは、仇子明が告発した凱恩集団と凱恩股份の不正取引とはいかなるものなのか。2本の記事に掲載された要点をまとめると次の通りである:

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「新聞記者はすごく危険な職業」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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